今坂正一とE-アシスト - 夏の甑島はライト三昧 5
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昆虫掲示板 : 夏の甑島はライト三昧 5

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imasaka
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  • 登録日: 2018-1-27
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夏の甑島はライト三昧 5
夏の甑島はライト三昧の5回目です。

2020年7月20-26日に出かけた久留米昆蟲研究會甑島調査の報告です。
前4回で上甑島と中甑島の報告をしましたので、今回から下甑島です。

なお、種名の後ろの☆は甑島列島初記録、下甑島初記録は種名の後ろに*印を付けています。

上甑島と中甑島は、細谷・國分・今坂の3名による調査でしたが、下甑島では22日から有馬、伊藤の二人が加わりました。

[下甑島 2020年7月22日-26日 有馬・伊藤・細谷・國分・今坂]

7月23日午後、細谷・國分・今坂は、第2便のフェリーに乗り、13時35分に下甑島の鹿島港に上陸しました。

今夜は尾岳か瀬々野浦で灯火採集を計画しているので、余り時間がありません。すぐに、小牟田に移動します。

○小牟田(=藺牟田) 49種(甑島列島初記録4種) 7月23日から25日 細谷・國分・今坂























実は、この場所のことを、前回までは藺牟田と表示していました。

テントウムシの研究で有名な故・佐々治先生が、テントウムシのモノグラフ(ファウナ・ヤポニカ)に、ゾウムシの権威の故・森本先生が採集された藺牟田産テントウムシを記録されていました。

そんなこともあり、鹿島港から最寄りの湿地としては、この場所しか見当たらず、地図には小牟田と表示してあるにもかかわらず、ここが藺牟田池があった場所と思い込んでいました。

ところが、國分さんの助言もあり、調べ直したところ、藺牟田池は実は鹿島港のすぐ近く、市街地の西側にあったようです。その後埋め立てられて、現在は、池の名残はまったくありません。

ということで、従来、私と共著者が記録した藺牟田は、全て、小牟田に読み替えていただきたいと思います。
私の勘違いで、誤って表示したことをお詫び申し上げたいと思います。

下甑島で牧場があるのは、小牟田と手打くらいなので、第一に、細谷さんを案内したわけです。

(小牟田)



















小牟田は谷間の中央と山際に道が通っていますが、山際の道は土砂崩れで交通止めになっていました。

中央の道は、手前右側が湿地で、その奥は草地で、牛が放牧されています。この湿地では前回、伊藤君が結構多くの水生甲虫をライトで採集しています。

細谷さんはなるべく牛の近くに、そして、私は湿地の近くにライトFITを下げます。
また、バナナトラップも設置されたようです。

二人がトラップを設置している間、國分さんは付近を探索され、アオスジアゲハ、モンキアゲハ、キタキチョウを目撃し、ルリシジミ、イシガケチョウ、リュウキュウベニイトトンボを採られていました。
それに、またまた、ルリナカボソタマムシを採集。

なぜか甑島では、この虫は私には縁がありません。やはり、周囲や葉上に目をこらしていないと採れないのでしょうか?

他に、エムモンチビヒメハナムシ、アミダテントウ、カワムラヒメテントウ、ヨツモンカメノコハムシも採集されていました。

私は25日にライトFITを回収しましたが、残念ながら、牛に関係するのはアカケシガムシ、キバネケシガムシ、フチケマグソコガネ、ヤエヤマニセツツマグソコガネくらいで、期待外れでした。

また、湿地性のものとして、アトモンミズギワゴミムシ、クリイロコミズギワゴミムシ、ナガマルチビゲンゴロウ、チビゲンゴロウ、ルイスヒラタガムシ、ヒメガムシ、ツマアカナガエハネカクシ☆、アオバアリガタハネカクシ、チャイロチビマルハナノミ、トビイロマルハナノミ、タテスジナガドロムシくらい。

裸地から草地の種として、キイロチビゴモクムシ、キベリゴモクムシ、ミドリマメゴモクムシ、クビボソハネカクシ、チビクビボソハネカクシ、オオドウガネコガシラハネカクシ、アカセマルマルクビハネカクシ☆、マダラチビコメツキ、スジマダラチビコメツキ、キイロアシナガヒメハナムシ*、シズオカヒメハナノミ☆、キイロクワハムシ。

あと、周囲の樹林から飛来したと思われる。アオドウガネ、クリイロアシブトコメツキ、クシコメツキ、チャイロヒメハナノミ、トゲナシヒメハナノミ、シロスジドウボソカミキリくらい。

細谷さんが25日に回収されたライトFITには、他に、オオアオモリヒラタゴミムシ、イツホシマメゴモクムシ、ホソセスジゲンゴロウ、ウスイロシマゲンゴロウ、サビキコリが、また、バナナトラップには、何故か、カクチビキカワムシ☆が入っていました。

(カクチビキカワムシ)
















本種は本州、四国、九州に分布しますが、九州では比較的良く見かけるものの、本州、四国では少ないようです。筒型のツルンとした種で、図鑑に載っていないので、時々、正体不明ということで問い合わせが来ます。

そして、任意採集ではクズノチビタマムシ、クチブトコメツキ、ケシコメツキモドキ、アミダテントウ、カワムラヒメテントウ、ニジュウヤホシテントウ、ワモンサビカミキリを採られていました。

○尾岳 114種(甑島列島初記録20種) 7月23から25日 有馬・細谷・國分・今坂























小牟田の後、長浜を経由して綴れ坂を登り、自衛隊の脇を通って、尾岳の登山口へ。
尾岳のピークは標高603mですが、登山口付近は430m、私が採集しているのはせいぜい500mくらいまでです。

風が強く、霧も巻いており、余り天気が良くないので、今夜の灯火採集はとても無理そうです。
瀬々野浦で灯火の場所を考えることにして、ささっと、トラップ類を設置することにしました。

(尾岳登山口、降りてきたところ)

















私はベイトトラップとライトFITを、細谷さんはバナナトラップとライトFITを設置しました。

翌24日には回収に出かけましたが、相変わらず風が強く、小雨交じりで、ベイトトラップにはコシキヒメオサムシ、オオホソクビゴミムシ、ムナビロサビキコリ、アカマダラケシキスイ、マルキマダラケシキスイ*、ハスジカツオゾウムシが入っていました。

狙ったコシキヒメオサムシは1♀だけで、当てが外れました。
その後もオサムシはごく少なく、甑島での発生は、ほぼ終わっている感じでした。

ライトFITは、1つは飛ばされていましたが、残っていたものにクロモリヒラタゴミムシ、ビロウドコガネ、オオサビコメツキ、フトツヤハダコメツキ☆、ホソツヤケシコメツキ、クリイロジョウカイ☆、ハセガワヒメハナノミ☆、アワヒメハナノミ☆、クリイロクチキムシ、コマルキマワリ、アオガネヒメサルハムシ、ヒメウスイロハムシ☆、クチブトノミゾウムシ、サクキクイムシ*など22種が入っていました。

(フトツヤハダコメツキ)
















本種は山地性で少ないので、甑島にいるとは意外でした。
福岡・佐賀では採れていますが、長崎県の記録はありません。

(クリイロジョウカイ)
















5-600m以上の山地に多い普通種ですが、甑島では初めてです。佐賀の記録は知りません。

(ヒメウスイロハムシ)
















本種は九州ではやや山地性で、佐賀県の記録は無く、長崎県でも本土部では記録が無く、かろうじて平戸と対馬の記録があるだけです。

上記3種だけとっても、島というのに、尾岳はブナ帯の下あたりの山地性の虫が採れ、他と違います。

さらに25日に回収したライトFITには、ヒラタアトキリゴミムシ、アオヘリアトキリゴミムシ、オチバヒメタマキノコムシ、クロシデムシ、ヒメデオキノコムシ、オオカンショコガネ、カミヤビロウドコガネ、クリイロタマキノコシバンムシ☆、ウスモンヒメコキノコムシ、キタツツキノコムシ、ウスオビヒメハナノミ☆、アトモンマルケシカミキリ、ヨリメオビモンヒゲナガゾウムシなどが入っていました。

(ウスオビヒメハナノミ Ermischiella vagevittata (Nakane, 1957))
















本種は同定していただいた畑山さんによると、すごい珍品で、中根猛彦博士が佐多岬産で新種記載された後,63年間、まったく記録の無かった種のようです。今回が2例目になるそうです。

このErmischiellaという属は、触角1-3節が短いのに対して、第4節以降はかなり長くて、全体としても非常に長いのが特徴だそうです。同属のハセガワヒメハナノミに似ていますが、後種の触角は黄赤褐色なのに対して、本種では暗褐色になり、区別できるそうです。

本種だけでなく、甑島と佐多岬だけという分布パターンを示す種が、他にも何種か有ります。

細谷さんもライトFITでさらに、クリイロアシブトコメツキ、クシコメツキ、アカゲハナボタル、イガラシカッコウムシ、モリモトヒメナガクチキを追加されています。

國分さんは、任意採集で24日にはヒメコガネ、コウゾチビタマムシ、フタモンクロテントウ、コシキハネナシサビカミキリ、クビアカトビハムシ、ツマキタマノミハムシを、

25日は、比較的天気が良かったこともあり、さらに、ホソホタルモドキ、ニセクロホシテントウゴミムシダマシ、ヨツコブゴミムシダマシ、ハネナシセスジキマワリ、ヒメアヤモンチビカミキリ☆、キボシツツハムシ、ツブノミハムシ、キイチゴトビハムシ、ルイスコトビハムシ*、コルリチョッキリ☆、ミツギリゾウムシ、シラケツチイロゾウムシ、マダラクチカクシゾウムシなどを追加されています。

甑島ではやはり、ニセクロホシだけで、九州本土に普通のクロホシテントウゴミムシダマシは採れません。

また、チョウでは、アオスジアゲハ、モンキアゲハ、カラスアゲハ、キタキチョウ、ヒメウラナミジャノメを見られただけだそうです。

(ヒメアヤモンチビカミキリ)
















下甑島にも、あるいは、サタサビカミキリか、その亜種が分布していることを期待していたのですが、近似の本種がいるということは、長崎での経験からすると、多分、いないものと思われます。

(コルリチョッキリ)
















私は、尾岳の夏は初めてと言うこともあり、トラップだけではなく、25日は少し時間をとって、スウィーピングや、ビーティング、ハンマーリングやスプレーイングをやってみました。

(尾岳のライトFITとスウィーピングをした草地)

















と言っても、膝にはまだ余り自信ないので、15分くらい登った、写真に写っているライトFITの先の明るい広場でスウィーピング、その上のアカガシの大木が散見される斜面でハンマーリングやスプレーイングです。

草地のスウィーピングでは、クロモリヒラタゴミムシ、オチバヒメタマキノコムシ、アラハダドウナガハネカクシ、キンボシハネカクシ☆、マメコガネ、コヒゲナガハナノミ、ホソサビキコリ、アオガネヒメサルハムシ、キカサハラハムシ、フキタマノミハムシ、キイロタマノミハムシ、コバネヒシバッタ☆が入りました。

(キンボシハネカクシ)
















本種の近似種は、最近、各地で分化しているとして、何種かに区別されていますが、結構派手な本種は、まだ、1種のままのようです。

スウィーピング中、左手の甲が痒いと思って、ふと見ると目も醒めるような紅色の虫が留まっていて、ヒイロハナカミキリでした。
思いがけなく、これは嬉しかったです。

(ヒイロハナカミキリ)
















この広場から急坂を登って、左手にアカガシが散見される緩やかな斜面があり(標高500mいかないくらいからアカガシが見られます)、ここから山頂まで、アカガシはかなり生育しているようです。

かつて、或るチョウ屋さんは、尾岳でキリシマミドリの卵を相当探されたようですが、見つけられなかったと聞いています。

(尾岳のアカガシ)

















この斜面付近で、細い立ち枯れはハンマーリングし、太いキノコの着いた立ち枯れはスプレーイングをしました。

その成果ですが、九州本土なら低山地で見られる種として、アカバデオキノコムシ☆、ヒメデオキノコムシ、クリイロアシブトコメツキ、ベニモンマルケシキスイ、キノコヒラタケシキスイ、アミモンヒラタケシキスイ、マルガタカクケシキスイ、ウエノマルヒメキノコムシ☆、ハスモンムクゲキスイ、

ミツボシチビオオキノコ、ミヤマオビオオキノコ、ダルマチビホソカタムシ、モリモトヒメナガクチキ、ノミナガクチキ☆、マダラニセクビボソムシ、ヨツボシゴミムシダマシ、マルツヤキノコゴミムシダマシ、ツノボソキノコゴミムシダマシ☆、ヨツコブゴミムシダマシ、マルツヤニジゴミムシダマシ☆、ホソクビキマワリ、ケチビヒョウタンヒゲナガゾウムシ、メナガヒゲナガゾウムシの一種など、結構沢山の種が落ちてきました。

(アカバデオキノコムシ)
















(ウエノマルヒメキノコムシ)
















(ノミナガクチキ)
















(ツノボソキノコゴミムシダマシ)
















(マルツヤニジゴミムシダマシ)
















本種はブナ帯とその下部で見つかります。

また、ツシマツヤゴミムシダマシ(対馬と甑島)、コシキハネナシサビカミキリのような固有種も見られました。

非常に興味深かったのは、同時に、以下のような南方系種も得られたことです。

ハチジョウチャイロコメツキダマシ☆(伊豆諸島、九州南部-琉球)、ムナビロカッコウムシ☆(九州南部-屋久島-トカラ)、ホソミスジホソカタムシ Leptoglyphus kubotai Aoki☆(九州南部-屋久島、伊(三宅))、ミナミノポリアヒメツツキノコムシ☆(沖縄)で、当然、4種共に北限記録になります。

(ムナビロカッコウムシ)
















なかなか良い色彩配置ですね。一見、アリモドキカッコウムシに似ていますが、名前の通りやや幅広で、前胸も赤いので区別できます。

(ホソミスジホソカタムシ)
















本種は久保田さん採集の屋久島産を基にAoki(2011)により新種記載された種で、その後、伊豆諸島と九州南部で見つかっています。

Aoki, J. 2011.Four species of the genus Leptoglypus from Japan (Coleoptera, Bothrideridae). Elytra, Tokyo, (N. S.), 1(2): 263-271.

(註. 当初、本種はミナミミスジホソカタムシと表示していました。写真を見た生川さんから、ホソミスジホソカタムシではないかと指摘があり、再確認したところ、確かに、ホソミスジホソカタムシでした。ミナミミスジホソカタムシとは、より細く、前胸基部に、( )型の縦隆起線があるので区別できます。ご教示いただいた生川さんに深謝します。)

(ミナミノポリアヒメツツキノコムシ)















本種は元来は黒い種ですので、黄色いのは?と思いましたが、未熟個体と思われます。
この色と形がなかなか可愛いですね。ただ、最大でも1.3mmに達しない微小種ですが。

本土には近似のポリアヒメツツキノコムシがいますが、前胸前角が突出せず、前胸の点刻が疎であることで、後者と区別されます。

このように、ブナ帯直下の種と、南方系の種が同時に見られることが甑島の(特に尾岳の)魅力の1つです。

一方、有馬さんは22日に下甑島に入り、各地にライトFITとバナナトラップを設置されましたが、尾岳にはバナナトラップを設置されたようです。

23日の回収でアカマダラケシキスイを、24日にはスジクワガタを採集されていますが、今回の甑島でスジクワガタを採られたのは彼だけでした。

本種は九州ではやや山地性で、特に、長崎・佐賀では、平地では殆ど見ることが出来ません。
島でも少なく、長崎県では辛うじて対馬の記録があるだけ。五島列島でも記録されていません。

さて、上記のように、尾岳ではナイターは無理と判断したので、瀬々野浦でやることにして、時間もまだ早いことから、一旦、宿に荷物を降ろすことにしました。

実は、1ヶ月程前、ある民宿を予約しておいたのですが、10日ほど前に予約の確認をしたところ、久留米(福岡県)からとの話を確認した途端(コロナ禍を心配して)、キャンセルされてしまいました。

しかたがなくて、いつもの手打の「きまま館」へ電話したところ、快くOKで、今回も5名の合宿となったわけです。

(きまま館)

















とりあえず荷物を置き、スーパーで弁当を買ってから瀬々野浦へ向かいました。

○瀬々野浦 199種(甑島列島初記録22種) 7月22日から25日 有馬・伊藤・細谷・國分・今坂























瀬々野浦の一番大木が多い辺りに細谷さんと二人、お互いに間隔を空けてライトFITを設置していきます。
良さそうな場所には、既に、前日から有馬さんもライトFITを設置されていて、三つどもえです。

私の方は5-6基設置して、次に、ベートトラップを設置します。細谷さんはバナナトラップです。

その後で、灯火採集の場所を探しましたが、全体にやはり風が強く、木が大きくて良さそうな場所は見通しが悪く、逆に、見通しの良い場所は風が心配で、なかなか決められません。

(瀬々野浦での灯火採集)

















結局、細谷さんはより見通しの良い場所に、私はなるべく風の影響を受けない場所に、50mほど間隔を空けて張ることになりました。

細谷さんはオオドウガネコガシラハネカクシ、ホソサビキコリ、オオサビコメツキ、オオツヤハダコメツキ、オオナガコメツキ、クチブトコメツキ、ヒラタクシコメツキ、シワナガキマワリ、オガサワラチャイロカミキリ☆、ヨコヤマヒメカミキリを採集されていました。

(オガサワラチャイロカミキリ)
















本種は多分いると思ってはいたのですが、細谷さんに採られてしまいました。

私は、コクワガタ屋久島亜種、ノコギリクワガタ、オオカンショコガネ、クリイロコガネ、マルガタビロウドコガネ、ツヤコガネ、オオクシヒゲコメツキ、アカゲハナボタル、マルヒラタケシキスイ、ミヤマオビオオキノコ、ヨツコブゴミムシダマシなどを採集しました。

また、かなりでかいゴマダラの薄黄色いゴキブリが次々に幕に飛来し、当初、佐多岬以南で記録のあるオガサワラゴキブリかと思っていたのですが、マダラゴキブリであることを矢代さんに教えていただきました。この種も甑島初であることは変わりませんが。

少しは辛抱して灯火採集を続けたのですが、やはり風が強くなり、虫も余り来ないので、早目に引き上げることにしました。

きまま館に戻ってしばらくすると、有馬さんと、伊藤君も戻ってきました。
有馬さんは前日(22日)、瀬々野浦で灯火採集をされたそうです。

今日よりは風がましだったようで、ルイスオオゴミムシ、クビアカモリヒラタゴミムシ、アオヘリアトキリゴミムシ、ヒラタクワガタ、サクラコガネ、サンカクスジコガネ、ヨツボシケシキスイ、キマワリ、ウスバカミキリ、ミヤマカミキリ、トゲヒゲトビイロカミキリ、シロスジカミキリ、アカコブコブゾウムシなどを採られていました。

翌24日、有馬・國分・今坂の3名で瀬々野浦のトラップを回収に行きました。

有馬さんのベイトトラップには、マイマイカブリとオオホソクビゴミムシがてんご盛りに入っています。どんな餌を使われたのかお尋ねすると、「丁度、余った犬のペットフードが有ったので、それを使った」とのこと。缶詰になった柔らかい生タイプで、さっそく銘柄を尋ね、商品シールを預かりました。ただ、虫は多く入りますが、軟らかい肉に虫の足が絡まり、ソーティングが大変なようで、使用には一工夫いると思います。

私のベイトトラップは、有馬さんのを見てからはごく僅かで、コシキヒメオサムシが1♀と、少しのオオホソクビゴミムシ、アカマダラケシキスイ、ムナビロサビキコリが入っていただけです。

(瀬々野浦のライトFIT)

















また、ライトFITには、クロヘリアトキリゴミムシ、シロオビチビサビキコリ、コシキクチボソコメツキ、ホソツヤケシコメツキ、ハチジョウチャイロコメツキダマシ☆、コチャイロコメツキダマシ、オオチャイロコメツキダマシ☆、クリイロジョウカイ☆、ホソシバンムシの一種*、ムナグロナガカッコウムシ、ハセガワヒメハナノミ☆、シナノヒメハナノミ*、オトヒメハナノミ*、

アカヒメハナノミ*、オオスミヒメハナノミ*、アワヒメハナノミ☆、モトヨツコブゴミムシダマシ、リュウキュウヒメカミキリ、クワカミキリ、クロオビトゲムネカミキリ、シリアカマメゾウムシ、セアカケブカサルハムシ、ウスモンツツヒゲナガゾウムシ*、ミスジオビモンヒゲナガゾウムシ☆、オオミスジマルゾウムシ、ヒメクチカクシゾウムシ、タイワンモンクチカクシゾウムシなどが入っていました。

風が強くても虫は活動しているようで、こんな日はスクリーンよりFITの方が風には強いようです。

(ミスジオビモンヒゲナガゾウムシ)
















本種は九州固有種で、福岡や鹿児島の記録がありますが、記録は少ないようです。

また、シナノヒメハナノミは北方系のかなり興味深い種で、前報(今坂ほか, 2020)で上甑島(本種の島の記録としては初めて)から記録しましたが、下甑島にもいることが解り、南限を少し更新しました。

今坂正一・國分謙一・伊藤玲央・有馬浩一, 2020. 甑島採集紀行2019年夏. KORASANA, (93): 43-108.

さて、このシリーズを書き出してから後の、ほんの1週間ほど前に、コチャイロコメツキダマシとオオチャイロコメツキダマシについて、それぞれ、畑山さんが発見したビッグニュースがあり、彼から教えていただいたので、ここに披露しておきます。

まず、瀬々野浦産のコチャイロコメツキダマシですが、本種の頭部を前から見ると、赤褐色地(色彩変異が大きく暗褐色も多い)の頭楯部分に、丁度ほくろの様に、一対の小さい黒丸紋があるそうです。

(コチャイロコメツキダマシ頭楯)
















(中甑島産近似種、(仮称)アマミコチャイロコメツキダマシの頭楯)
















ところが、中甑島木の口展望所産の同種と思われた個体は、やや体色が濃い黒褐色で、頭楯も黒褐色、いくら見直しても、黒丸紋は見つけられなかったそうです。

これは、屋久島から奄美大島に分布する未記録種で、(仮称)アマミコチャイロコメツキダマシの特徴の一つだそうで、頭楯基部幅(a)と、その縁から複眼までの距離(b)がほぼ同じことも重要な区別点との事です。本種は上甑島からも見つかっています。ちなみに、コチャイロコメツキダマシは、複眼までの距離の方が長くて、a<bとなります。

当然、2種の♂交尾器も全く異なり、別種であることは明らかです。

(左から、コチャイロコメツキダマシ♂背面、♂触角・第2節以降、♂交尾器、アマミコチャイロコメツキダマシ♂交尾器、♂触角・第2節以降、♂背面)















不思議に、コチャイロコメツキダマシは今のところ、下甑島の瀬々野浦のみで見つかっており、アマミは上甑島と中甑島だけなので、この2種は棲み分けている可能性も考えられます

さらに、オオチャイロコメツキダマシですが、こちらも真のこの種は、今のところ、下甑島瀬々野浦のみで見つかっています。日本全土に広く分布し南限は屋久島との事です。

畑山さんは、上甑島遠目木山産♀にやや違和感を感じ(触角各節が俵状に膨らむ)、通常、コメツキダマシ類では分類の形質として使用されない小顎髭を見たところ、まったく別の形をしており、目が点になったそうです。

(左から、オオチャイロコメツキダマシ♀小顎髭、下唇髭、カミコシキオオチャイロコメツキダマシ♀小顎髭、下唇髭)















その後、標本を見直したところ、上甑島産で2♂5♀が見つかり、交尾器の形状も全然違っていて、明らかに、オオチャイロコメツキダマシとは違うことを確認されたそうです(体長は10-13mmでオオチャイロとほぼ同じ)。

(左から、オオチャイロコメツキダマシ♂背面、小顎髭、下唇髭、触角、♂交尾器背面、腹面)



















(左から、カミコシキオオチャイロコメツキダマシ♂背面、小顎髭、下唇髭、触角、♂交尾器背面、腹面)



















この種は、今のところ上甑島産だけなので、(仮称)カミコシキオオチャイロコメツキダマシと和名を付けられています。
この種群でも、上甑島と下甑島で別種が棲み分けているようです。

ライトFITに入るコメツキダマシの中では、コチャイロコメツキダマシもオオチャイロコメツキダマシも、どこでも、最も普通で多い種の1つです。そんな種に、こうした隠蔽種が存在するとは、夢にも思われなかったのでしょう。

「近似ではあるがかなり系統の違う別種が、島ごとに棲み分けているなど、いったい、甑島はなんという島なのか?これだけ違えば、両種とも混生していてもいいのに・・・。」と、唖然とされている模様です。

ご教示いただいた畑山さんに深謝し、新発見をお祝い申し上げます

有馬さんが回収されたライトFITには、オチバヒメタマキノコムシ、チビタマキノコムシ☆、スジコガネ、ハマベオオヒメサビキコリ、シラケツチイロゾウムシ、マルクチカクシゾウムシの一種が追加されていましたし、

前日23日回収分には、カツオガタナガクチキ、ナガニジゴミムシダマシも入っていました。

細谷さんは25日にライトFITを回収されましたが、チャイロコミズギワゴミムシ☆、コハラアカモリヒラタゴミムシ、ウスモンケシガムシ、ルイスセスジハネカクシ、ツマキクビボソハネカクシ☆、セダカマルハナノミ、オオハナコメツキ、オオナガシンクイ、クリイロムクゲキスイ、ヒラタコメツキモドキ☆、アマミヒメハナノミ、サタカミキリモドキ、ヨツスジハナカミキリ亜種?、タイワンメダカカミキリ*、ケシカミキリ等が含まれています。

(ツマキクビボソハネカクシ)
















本種は九州(宮崎)から沖縄本島で記録されており、下甑島はほぼ北限になります。

(ヒラタコメツキモドキ)
















本種は、九州では局地的ですが、いるところでは多く見られます。

また、有馬さんはバナナトラップを23日と24日に回収されて、マイマイカブリ、コシキヒメオサムシ、フタホシスジバネゴミムシ、コクワガタ屋久島亜種、ヒラタクワガタ、カナブン、ヨツスジハナカミキリ亜種?、ニセシラホシカミキリなどを採られています。

エサがあれば、オサムシ類も結構、木にも登るのですね。

それから、私はトラップに忙しくて、まったくやる時間が取れなかった任意採集ですが、國分さんは23日にイクビモリヒラタゴミムシ、ニセビロウドカミキリ、ルイスコトビハムシ*、キイロタマノミハムシ、トゲアシゾウムシ、クロホシクチブトゾウムシ、タバゲササラゾウムシを、

有馬さんは22、23、そして25日も採集され、ミヤマクワガタ、マメコガネ、ムネアカチビナカボソタマムシ、クリイロアシブトコメツキ、ツキワマルケシキスイ☆、ニジュウヤホシテントウ、ヨツスジハナカミキリ亜種?、フタオビミドリトラカミキリ、ヨツスジトラカミキリ、ナガゴマフカミキリ、ビロウドカミキリ、シラホシカミキリ、リュウキュウルリボシカミキリ、アカガネサルハムシ、ミツギリゾウムシ、アオスジアゲハ、モンキアゲハ、キタキチョウなどを採集されています。

(ツキワマルケシキスイ)















任意採集と言えば、伊藤君が23日に61種と、かなりの成果をあげています。大部分、スプレーイングと落ち葉のリフティング、そして、ビーティングと思います。

キイロホソネスイ☆は、私も採ってかなり得意だったのですが、伊藤君もちゃんと採ってました。おまけに、展足までしてあるので、私の標本よりよほど綺麗なので紹介しておきます。

(キイロホソネスイ)
















また、ミナミミスジホソカタムシは既に下甑島から記録がありますが、元々スマトラ・ジャワ等で知られていた種で、日本から記録されたのは比較的最近のことです。
近似種の中では最小クラス、先に挙げたホソミスジホソカタムシと同等、2mmに満たない種です。

青木淳一・平野幸彦(2008)ミスジホソカタムシ属の日本未記録種. ねじればね, (123): 1-3


(ミナミミスジホソカタムシ)
















他のメンバーが採集していないエグリゴミムシ、クロズホナシゴミムシ、ハギキノコゴミムシ、フジチビヒラタエンマムシ、ヤマトホソスジハネカクシ、ツノフトツツハネカクシ、ツヤエンマコガネ、ヒメジョウカイモドキ、ベニモンマルケシキスイ、ツキワマルケシキスイ☆、アシナガマルケシキスイ、クロモンカクケシキスイ☆、セマルチビヒラタムシ☆、セスジムクゲキスイ、キオビチビオオキノコ☆、キアシチビオオキノコ☆、

キイロアシボソテントウダマシ、コマルガタテントウダマシ☆、ムツキボシテントウ、ナガセスジホソカタムシ、ヨコモンヒメヒラタホソカタムシ、ツヤナガヒラタホソカタムシ*、ホソマダラホソカタムシ、ミナミミスジホソカタムシ、アトキツツホソカタムシ☆、クロツヤツツホソカタムシ、モリモトチビキカワムシ、クロテントウゴミムシダマシ、ホソリンゴカミキリ☆、セマルトビハムシ*、ヤツボシヒゲナガゾウムシ、キボシメナガヒゲナガゾウムシ☆、ハイイロチョッキリ☆、サクキクイムシ*などを採られていて、相変わらず良く採ります。

(キオビチビオオキノコ)
















本種は本州から沖縄までいることになっていますが、九州では少なく、採ったことがありません。

(コマルガタテントウダマシ
















(アトキツツホソカタムシ)















(キボシメナガヒゲナガゾウムシ)















(ハイイロチョッキリ)
















本種は夏から秋の発生のため、今回、甑島初記録になったものと思われます。

(ホソリンゴカミキリ)















今回の甑島調査で初記録のカミキリは、本種とオガサワラチャイロカミキリ、キマダラカミキリ、ヒメアヤモンチビカミキリの4種です。かなり調査が進んでるカミキリも、まだまだ、増える余地がありそうです。

結局、瀬々野浦は調査メンバー5名、総がかりで採集したこともあり、199種も採れています。元々の樹相が甑島列島では一番良いので、ある意味当然ですが・・・。

つづく