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昆虫掲示板 : KORASANA 94号が5月11日に発行されました

投稿者 トピック
imasaka
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  • 登録日: 2018-1-27
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KORASANA 94号が5月11日に発行されました
久留米昆蟲研究會より会誌 KORASANA 94号が5月11日に発行されました。

今回は、原稿が300ページ分以上集まったため、急遽、2冊続けての発行になり、93号に続き発行したわけです。

事務局では希望される方にそのKORASANA 94号を3000円で頒布しておりますので、その内容について紹介したいと思います。

KORASANA 94号をご希望の方は、このホームページ左上の「おたより」をクリックして申し込まれるか、あるいは直接、事務局 國分謙一 kokubu1951@outlook.jp
までお申し込みください。

目 次
KORASANA № 94. 2020

報文
長田 庸平 [ 福岡県におけるチョウ類の撮影記録 ]・・・・・・・・・・3
長田 庸平 [ 沖縄島・古宇利島におけるチョウ類の撮影記録 ]・・・・・7
長田 庸平 [ 八重山諸島(石垣島、西表島、竹富島、波照間島)に
       おけるチョウ類の撮影記録 ] ・・・・・・・・・・・・・12
長田 庸平 [ 宮古諸島(宮古島・伊良部島)に
       おけるチョウ類の撮影記録 ] ・・・・・・・・・・・・・19
佐々木 公隆[ 南大隅半島のライトトラップ採集された蛾類 ]・・・・・23
江頭 修志 [ 喜界島の甲虫類と蝶類 ] ・・・・・・・・・・・・・・・37
越智 恒夫 [ 愛媛県のゴミムシダマシ科 ] ・・・・・・・・・・・・・43
城戸 克弥 [ 丸山式FIT で得られた筑紫野市大根地山の甲虫類(1) ]・・77
城戸 克弥 [ 筑紫野市大根地山で採集した甲虫類(1) ]・・・・・・・・91
江頭 修志・城戸 克弥
     [ 久留米市「御塚・権現塚史跡の広場」の甲虫類 ]・・・・125

短報
長田 庸平 [ 西表島における数種のトンボ類の撮影記録 ]・・・・・・・1
長田 庸平 [ 石垣島における数種のトンボ類の撮影記録 ]・・・・・・・1
長田 庸平 [ 2016年4月、宮古諸島池間島におけるトンボ類の撮影記録 ]・2
長田 庸平 [ 2019年6月、対馬におけるトンボ科4 種の記録 ]・・・・・・2
長田 庸平 [ 熊本県阿蘇でキハダカノコを撮影 ]・・・・・・・・・・・6
伊形 浩信 [ 熊本県阿蘇地方におけるシータテハの記録 ] ・・・・・・21
伊形 浩信 [ 福岡市におけるムシャクロツバメシジミの記録 ] ・・・・22
伊形 浩信 [ 福岡県、佐賀県、熊本県、山口県におけるカバマダラの記録 ]22
小旗 裕樹 [ 大分県庄内町黒岳で採集したカワリムジハムシ ] ・・・・42
築島 基樹 [ アスファルト道路脇側溝から採集されたムナビロドロムシ ]42
長田 庸平 [ 波照間島におけるカメムシ類の採集記録 ] ・・・・・・・76
長田 庸平 [ 宮古島におけるクロバネツリアブの追加記録 ] ・・・・・76
城戸 克弥 [ コケシマグソコガネの福岡県からの記録 ]・・・・・・・124
城戸 克弥 [ 筑後市で採集されたコガタノゲンゴロウ ]・・・・・・・124
城戸 克弥 [ 福岡県におけるカクモンホソオオキノコムシの追記録 ]・124

表紙解説
堤 俊博 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・140

(表紙)





























表紙解説

福 岡 県 内 の 貴 重 な 昆 虫 類

1. チョウトンボ Rhyothemis fuliginosa Selys, 1883
響灘ビオトープ (福岡県・響町 ), 2013年 7月 21日撮影 .
蝶のようにひらと舞チョウトンボ。 蝶のようにひらと舞チョウトンボ。 翅は 構造色 を持ち、光の当たる角度によっ て様々な色彩をみせ、観察者たち大いに魅了している。

2. ヒメボタル Luciola parvula Kiesenwetter, 1874
剣岳(福岡県・鞍手町 ),2018年 5月 29日撮影 .
よく河川で見られるゲンジボタルは幼虫 よく河川で見られるゲンジボタルは幼虫 の時期を水中で過ごすが、ヒメボタル幼虫は陸生森に息している。ゲンジに比べ光の点滅が速いため、写真には状りこむとから「地上星」も呼ばれてる。 光の点滅が速いため、写真には状りこむとから「地上星」も呼ばれてる。 光の点滅が速いため、写真には状りこむとから「地上星」も呼ばれてる。

3. キリシマミ ドジThermozephyrus ataxus (Westwood, 1851) ♀
背振山 (福岡県佐賀・境 ), 2017年 7月 17日撮影 .
背振山で見られるゼフィルス類の代表格。雄翅は黄緑色に光構造を持つまた、裏が 雌雄で大きく異なる模様を持つのは、日本に生息す るゼフィルス類の中でも本種みあり、観察 する際はぜひ注目してほい。

4. ベッコウトンボ Libellula angelina Selys, 1883
響灘ビオトープ (福岡県・響町 ), 2014年 4月 26日撮影 .
かつては日本各地の平池沼に生息しいたが、埋め立などより数激減る。
そんな中、 響灘地 区にある廃棄物処分場跡で偶然にもベッコウトンボが確認され、今は最大 級の生息地として保護・管理が行われいる。

( 表紙写真・ 解説: 堤 俊博 )


本号では、前号に掲載した釈迦岳・甑島以外の、多くの地域の報告と短報を集めました。大隅半島の蛾、喜界島の甲虫と蝶、愛媛県のゴミムシダマシ、福岡県大根地山の甲虫と、久留米市の古墳の甲虫など、短報でも県内の蝶の記録を始め、琉球各島の島ごとのトンボ、蝶、カメムシ等の記録など、極めて多くの地域の多くの分類群について報告されています(以上、編集後記より)。

まずは、長田さんによる短報から。

西表島・石垣島・池間島・対馬のそれぞれ数種のトンボ類の記録。

福岡県のチョウ類の撮影記録では45種が、沖縄島・古宇利島におけるチョウ類の撮影記録では45種が、八重山諸島(石垣島、西表島、竹富島、波照間島)
におけるチョウ類の撮影記録では60種超が、宮古諸島(宮古島・伊良部島)におけるチョウ類の撮影記録では24種が記録されています。

伊形さんは、阿蘇地方のシータテハ、福岡市のムシャクロツバメシジミ、福岡・佐賀・熊本・山口のカバマダラの記録を報告されています。

佐々木さんは、自身および築島さんが大隅半島で採集した蛾 127種を報告されています。

このうち、写真にある以下の8種は重要だそうです。

(大隅半島で採集した蛾類)




















クロシオゴマフボクトウ (図. 1)
九州南部の海岸線や島嶼部に記録があるが、記録は少ない。

カワゴケミズメイガ (図. 2)
南九州の鹿児島県・宮崎県に記録も多い。

アサヒナオオエダシャク (図. 3)
九州本土域では鹿児島県・宮崎県で確認されている。宮田(1983)では九州本土域の記録はなく北上している蛾の一つである。

マダラチズモンアオシャク (図. 4)
九州の海岸部で記録があるが少ない種である。

テイキチシャチホコ (図. 5)
これまで九州南部鹿児島県・宮崎県に記録が多い。

ヤクシマネグロシャチホコ (図. 6)
九州本土では鹿児島県で採集されている。

ハナジロクチバ (図. 7)
遇産蛾。鹿児島県本土域でも複数の記録がみられる。

クロシオキシタバ (図. 8)
九州では大分県、宮崎県、鹿児島県の記録がある。

以上、解説は、佐々木, 2020より引用しました。

(喜界島の甲虫とチョウ)































江頭さんは、喜界島から41種の甲虫と、11種のチョウを報告されました。

喜界島の甲虫の記録は少なく、今坂・祝(2007)では138種が記録されています。
今回、このリストに含まれない種を20種記録されています。

また、このうち、リュウキュウツツハムシは沖縄本島から石垣島までの各島で記録されており、奄美大島でも見つかっていないことから、その分布が注目されます。

小旗さんは、大分県庄内町黒岳からカワリムジハムシを、
築島さんは、宮崎の笹岡さんがアスファルト道路脇の側溝の落ち葉堆積下から採集されたムナビロツヤドロムシを報告されています。

(カワリムジハムシ)
















越智さんは、愛媛県のゴミムシダマシ科をまとめられました。

(愛媛県のゴミムシダマシ科)




































文献記録も含めて130種で、他に、分布する事が疑問な8種も知られているようです。四国産が141種ですから、その大部分が記録されていることになります。

この中には、愛媛県固有種であるカメガモリオオアオハムシダマシ、イヨヒメクチキムシ、イシヅチヒサゴゴミムシダマシが含まれています。

また、珍しい種として、シコクオオアオハムシダマシ、ニセハマヒョウタンゴミムシダマシ、コブヒメツノゴミムシダマシ、ムナビロクチキムシ、オオメキノコゴミムシダマシ、クロオビキノコゴミムシダマシ、ヒメユミアシゴミムシダマシなどが報告されています。

興味深いのは、愛媛県では、九州には分布しないニセクロホシテントウゴミムシダマシが一般的であり、むしろ、九州では普通のホンクロホシテントウゴミムシダマシが局地的であることです。

この2種は愛媛県では一部の混生地を除いて棲み分けているようで、ニセクロは高縄半島から石鎚山以東に広く普遍的に分布し、ホンクロはより九州に近い愛媛県南西部に局所的に分布するようです。

(2種の分布)




















愛媛県のゴミムシダマシ科については、この報告でほぼ出尽くしていると思われ、今後は、種ごとの県内・あるいは環境ごとの分布について明らかになることを期待します。

続いて、長田さんの、波照間島のカメムシ数種の記録と、宮古島のクロバネツリアブの追加記録です。

(クロバネツリアブ)
















城戸さんは、毎年、地域を決めてその場所の甲虫相を調査されていますが、今年は福岡県筑紫野市大根地山(おおねちやま)です。

最初の、「丸山式FITで得られた筑紫野市大根地山の甲虫類(1)」は中腹のアカガシ林(標高約440m)に設置した丸山式FITで得られた359種を、

2番目の「筑紫野市大根地山で採集した甲虫類(1)」では、ビーティング、灯火採集、吊り下げ式FITなどを駆使して採集された762種を記録されている。

大根地山は宝満山の南東に位置し、標高652m、標高400m 付近から山頂一帯にかけアカガシを中心とした自然林が残り大根地植物群落保護林に指定されている。山系としては直接尾根が連なっている訳ではないが、宝満山系の南端ということになる。山頂直下には大根地神社が据えられ古くから信仰の山としてあがめられている(以上、城戸, 2020. 調査地の概要より)。

城戸さんは大野城市在住で、大根地山は直線で10kmほどしか離れていません。

そのような自宅近くで、丸山式FITとその他の採集方法を駆使して、1年で、915種を採集されています。

その中には、600mそこそこの山でありながら、ヤマトナガヒラタムシ、 ムラサキツヤハナムグリ、キタベニボタル、メダカヒメヒラタホソカタムシ、ウスモンヒメヒラタホソカタムシ、ヘリハネムシなど山地性の種が得られ、

(大根地山の甲虫 1)
































一方で、ヒメセスジカクマグソコガネ、ヨツバコガネ、ムモンシリグロオオキノコムシ、カクモンホソオオキノコムシ、クリイロヒゲハナノミ、アバタツヤナガヒラタホソカタムシなど低地の発達した常緑の林にいるもの、

(大根地山の甲虫 2)































さらに、トウキョウヒメハンミョウ、ホソツツタマムシ、スゲクビボソハムシ、ウスグロスジツツハムシ、ホソキスジノミハムシ、セスジクビボソトビハムシなど、裸地-草地-湿地などの虫も得られており、かなり多様性に富んだ甲虫類を産する山のようです。

今回の報告を(1)として、2020年度も調査を継続される気持ちが良く解ります。
久留米の近くにはこのような山が存在せず、今坂としては、うらやましい限りです。

また、城戸さんは福岡県春日市からコケシマグソコガネを、筑後市からコガタノゲンゴロウを、宇美町三郡山・大野城市四王寺山・井野山・那珂川市南面里(なめり)鷲ヶ岳からカクモンホソオオキノコムシを記録されています。

最後の、カクモンホソオオキノコムシ Dacne kidoiは、城戸さんが採集された標本を基に新種記載された種ですが、局地的で、城戸さん以外に採集している人は数少ないようです。

江頭・城戸両氏の「御塚・権現塚史跡の広場」の甲虫類は、久留米市の南西部、筑後川からも近い田園地帯にあり、僅かに照葉樹林が残っている古墳の甲虫の記録です。

調査はビィーティングが主体で、灯火採集、落葉篩やパイナップルトラップ、吊り下げ式FIT、地表式FIT、丸山式FITなどを使用されています。

二つの古墳を含む広場(公園)域は約5haで、3-9月の調査で、296種の甲虫を記録されています。

(古墳の甲虫)





























この古墳の甲虫相の特徴としては、
食菌性の種や食肉性の種は極端に少なかったこと、

シデムシ類が全く見られなかったこと、

照葉樹林らしい豊かな落葉層が存在したのに、落葉下性の種類も個体数も少なかったこと、

乾燥に強いグループのゴミムシ、ケシキスイ、チビツチゾウムシなどが多く見られたこと、

食菌性のオオキノコムシ、テントウダマシ、ゴミムシダマシなどはほとんど見られなかったこと、

草につく種としては、スイバ、ツユクサ、イノコヅチ、タデ類などからはそれを食害する甲虫がよく得られたこと、

筑後川本流から2km程と近いので、河川付近に多いオオサカスジコガネ、ハンノアオコガネ、ヒメスナゴミムシダマシなどを見ることができたこと、

沿岸地方に多いハスジチビヒラタエンマムシ、ヨツスジトラカミキリ、ワタナベヒサゴゾウムシ等が見られたこと、などを上げることが出来るそうです。

オオクワガタは1999年まで、ヘイケボタルも1993年までで、その後確認できないようになったそうです。
周辺の田圃の区画整理や側溝改築などの影響でしょうか・・・。

珍しい種・意外な種としては、ナガヒラタムシ、ナガサキヒメナガゴミムシ、キイロアトキリゴミムシ、ヒメコブスジコガネ、ケシツブタマムシ、キンイロエグリタマムシ、ホソアシシバンムシ、ツノブトホタルモドキ、ニホンヒゲブトキスイ、コブスジケシキスイ、カメノコテントウ、ヒメオビキノコゴミムシダマシ、ウスイロチビゾウムシ、キイロアシブトゾウムシ、チャマダラヒメゾウムシ、ワタナベヒサゴクチカクシゾウムシが見つかっています。


なお、久留米昆では、次回、95号を2020年末に発行したいと考えています。会誌には会員からの原稿を、無制限に受け付けています。

発表する機会や会誌が見当たらない虫屋・研究者の皆さん、久留米昆に入会すれば、いくらでも発表できます(1年間の会費:3500円)。

奮って入会し、原稿をお寄せ下さい。

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