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日本産Pagria (キバネサルハムシ属)について
−付.東南アジア産数種の記録−

今坂 正一・南 雅之

Shoichi Imasaka and Masayuki Minami
Notes on the Genus Pagria (Coleoptera, Chrysomelidae, Eumolpinae) from Japan, with Records of some Southeast Asian species.

<はじめに>
  ヒメキバネサルハムシ Pagria signata (Motschulsky, 1858) は、一般に頭部及び胸部と上翅合わせ目が黒色で肢と上翅の大部分は黄褐色になる、サルハムシ亜科の中では最も小型のサルハムシ(体長1.8-2.8mm程度)の一種で、本州以南〜琉球に広く分布する。各地のマメ科植物にごく普通に見られ、全体ほぼ赤褐色のものから、全体黒色になるものまで、多様な色彩変異があることが知られている。
 従来、日本産のPagria属(キバネサルハムシ属:新称)としては、本種ただ1種が知られており(木元・滝沢, 1994など)、筆者らもその扱いを踏襲していた。
 つい最近、Moseyko and Medvedev, 2005aによってPagria signataとその近縁種の再検討がなされ(ロシア語)、その英訳版(Moseyko and Medvedev, 2005b)が公表されたことを知り、これらの文献を入手した。
Moseykoらはこの論文のなかでP. signataに対し、ビルマ産の個体を後模式標本として指定、産地としてベトナム、ラオス、タイ、ミャンマー、インドを上げ、日本は分布から除いている。一方、P. signataのシノニムとなっていた4種を独立種とし、その内の3種を日本から記録している。
 筆者らはこの論文を参考にして、国内産が実際に3種に区別できるのか、それぞれの種が国内でどのような分布状況を呈するのか、ということについて共同して研究を行った。その結果、Moseykoらが新種として記載した1種を追加して、国内に4種のPagria属が分布することが明らかになった。
 最初に述べたように、本属の種は普通種と考えられ、各種アセスメント調査や各地のファゥナ調査目録には必ず登場することから、研究者や同好者の注意を喚起する意味でも、調査は不十分ながら急ぎ報告した次第である。まず、日本国内に分布するPagria属の全種の特徴と分布の概要を解説し、併せて、筆者らの手元に所蔵する東南アジア産数種についても記録しておきたい。
 常々ハムシ科についてご教示頂き、今回重要な文献をご指摘頂いた滝沢春雄博士に深甚なる謝意を表したい。また、文献入手の件でお世話になった鈴木邦雄、多田内修の両博士、従来より貴重なハムシ科標本を恵与頂いている故江本健一、杉野廣一、田尾美野留、畑山武一郎、槇原 寛、正木 清の各氏、本文の登載に尽力頂いた古川雅通氏に心よりお礼を申し上げる。

<Pagria属(キバネサルハムシ属:新称)>
Pagria属は、アジア・アフリカを中心に広く分布する小型のサルハムシで、頭部の複眼上に明瞭な楔形の溝を装う(figs. 13〜16)ことにより、近縁属と区別されている。この溝の上部には、前頭から頭頂にかけての側縁がひさし状に張り出し、明瞭な隆起線となっており、種によってその形状が異なっていることが判明した。
これまで本属の和名には、ヒメサルハムシ属(Ch?j? and Kimoto, 1961)やヒメキバネサルハムシ属(木元・滝沢, 1994)が使われてきたが、木元(1980)がP. signataの和名に使用したキバネサルハムシを属名とすることを提唱したい。

<Moseyko and Medvedev, 2005bによる日本産3種>
  Moseykoらは、Pagria signataとその近縁種を15種(5新種を含む)に整理、各種を記載して、それぞれの♂交尾器を図示している。また、日本国内から以下の3種を記録し、これらを含む全種の検索表を作成している。
1.    Pagria consimile (Baly) (Kobe, VI. 1932, 4 specimen; Tsuruga, 13. V. 1935 Zhenzhurist, 1 specimen).
2.    Pagria flavopustulata (Baly) (Motohacone, Nippon, Japan, 18. VII. 1917, Roshkovskii, 1 specimen).
3.    Pagria ingibbosa Pic (Iki Is., iretum Koreanum IX. Fruhstorfer, 1899, 1 specimen; ?Shikoku Is., Kiu Shiu, Misaki, Japan, 29. VII. 1917 Roshkovskii, 1 specimen; Kobe Is. Baker, 1 specimen).

<日本産Pagria属の再検討>
  Moseykoらの論文に従って、筆者ら所蔵のPagria属の標本を比較検討したところ、国内からはMoseykoらが日本から記録した3種以外に、日本初記録となる1種が見いだされた。そこで、和名における今後の混乱を避けるため、これまで使われてきたヒメキバネサルハムシの和名は使用せず、それぞれに新たな和名を与えた。これら4種は以下の検索表で区別することが出来る。

1(2). ♂は頭部と前胸背板全体が赤褐色。♀はやや黒化し、時に頭頂部のみが赤褐色、前胸背板は黒色で前縁1/3程度は赤褐色。頭頂の側縁は複眼の内側でやや角張って波曲する。上翅基部の隆起部の後方に八の字形になる濃色の斑紋を持つが、時に薄まって消失する。♂交尾器は先端付近まで太く厚く、前縁は丸く、上反しない。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ムネアカキバネサルハムシ(新称) Pagria consimile (Baly)
2(1). ♂♀共に頭部と前胸背板は大部分が黒色、時に頭頂部と前胸背板前縁は狭く赤褐色。頭頂の側縁は複眼の内側でほぼ直線状。♂交尾器は先端部が扁平で、前縁は上反する。
3(6). 頭部と前胸背板は黒色。上翅基部側縁は直線状で、ほぼ平行。頭頂の側縁は複眼の内側で直線状。♂交尾器前縁はほぼ切断状で、先端の上反部は広く扁平。
4(5). 上翅はやや細く長い。♂の上翅の合わせ目と側縁は黒く、基部の隆起部の後方に黒紋を持たない。♀は頭部〜上翅まで全体ほぼ黒色。前胸背板は光沢が強いが、金属光沢は無い、点刻はより小さく、疎。♂交尾器前縁の上反部は広く扁平、中央はややくぼむ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ツヤキバネサルハムシ(新称) Pagria flavopustulata (Baly)
5(4). 上翅はやや丸く短い。合わせ目と側縁は黒く、基部の隆起部の後方は丸く窪み、やや黒ずむ。左右の黒紋は繋がらない。前胸背板は金属光沢を持ち、点刻はより強く、密。♂交尾器前縁は急角度で上反し、狭い。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チビキバネサルハムシ(新称) Pagria ingibbosa Pic
6(3). 頭部と前胸背板は黒色、時に頭頂部と前胸背板前縁は狭く赤褐色。上翅全体に丸みが強く、やや短い。頭頂の側縁は複眼の内側で弱く波曲する。上翅基部の隆起部の内方〜後方に黒紋を持ち、合わせ目を通じて左右の黒紋が菱形あるいは八の字状に繋がる。しばしばこの黒紋は褐色に薄まり、時に消失する。頭頂の点刻はやや大きく密。♂交尾器先端はやや尖り、微妙に左右非対称。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マルキバネサルハムシ(新称) Pagria ussuriensis Moseyko et Medvedev


ムネアカキバネサルハムシ(新称) Pagria consimile (Baly, 1874)
                                (figs. 1, 2, 3, 13)
Nodostoma consimile Baly, 1874, Trans. Ent. Soc. London, 1874: 168-169.(Japan: Nagasaki, Tsu Sima).
Pagria signata: Jacoby, 1908, Fauna Bri. India: 356; Ch?j?, 1938, Bull. Umeno Ent. Labo. (6): 7.(Kurume); Ch?j?, 1956, Philippine J. Sci., 85(1): 58-61.(Taiwan)(nec Motschulsky).
Colposcelis signata: Ch?j? and Kimoto, 1961, Pac. Ins. 3(1): 143, (nec Motschulsky).
Pagria consimile: Moseyko and Medvedev, 2005a. Entomologicheskoe Obozrenie, 84(1): 116-117, fig. 4.
  日本産の本属の中では、最も大きい(2.2-2.8mm)。♂は触角・肢・頭部・前胸背板と、上翅の大部分が赤褐色(fig. 1)で、上翅の合わせ目は細く濃色。♀は頭頂と前胸背板の前縁中央部1/3程度を除いて黒色(fig. 2)。上翅基部の隆起部の後方に、八の字形の濃色の斑紋を持つが、時に薄まって消失する。上翅基部側縁も狭く濃色。♂♀共に上翅は比較的長く、前胸背板の点刻は大きく密、上翅の点刻は大きいが浅く、後半は不明瞭。頭頂の側縁は複眼の内側で、やや角張って波曲する(fig. 13)。
 台湾産ではやや大型の個体が多く、♂はほぼ全体赤褐色。♀の黒色部も少なくなり、前胸は赤褐色で濃色の丸い一対の紋を持つものが多い。♂交尾器前縁は丸く、先端は上反しない(fig. 3)。
 手元のデータから判断すると、本州と九州では低地から低山地(標高800m以下)までかなり普遍的に分布すると思われる。ロシアから朝鮮、台湾を経てインドネシアまでみられ、かなり分布域は広いと想像される。主としてクズやハギ類から採集されている。
 中根, 1963にヒメキバネサルハムシ(これ以降解説のなかでは種名からハムシを省略する) Colposcelis signataとして図示されている個体は本種の♀と思われる。種小名は「類似の」の意。Baly, 1874は、signataに似ていると書いているので、signata類似の種と言う意味のようである。
分布:Japan (本州、九州、対馬);Russia(Primorskii Territory)、South Korea、Taiwan(new record)、Indonesia (Lonbok Is., Sumatra)(new record)
検視データ:Japan 本州 [栃木県] 1♀. 那須高原, 13. VI. 1989, 伊藤正雄採集; [埼玉県] 1♀. 滑川村三ッ沼, 19. V. 1992, 南 雅之採集; 2♀♀. 鳩山町赤沼, 4. V. 2004, 南 雅之採集; 2♀♀. 武蔵野森林公園, 16. V. 1976, 江本健一採集; [東京都] 1♂1♀. 町田市図師−小野路, 5. V. 2007, 南 雅之採集; [神奈川県] 2♀♀. 六国峠, 3. VII. 1977, 江本健一採集; [千葉県] 1♀. 柏市, 12. VI. 1966, 江本健一採集; [長野県] 1♂. 松本市扉, 16. VIII. 1974, 今坂正一採集; [滋賀県] 1♂1♀. 滋賀県大津市安曇川, 4. VI. 1977, 正木 清採集; [京都府] 1♀. 京都市貴船, 26. IX. 1975, 今坂正一採集; 1♂. 京都市八瀬, 13. VI. 1976, 正木 清採集; 1♂2♀♀. 京都市岩倉, 26. VI. 1971, 今坂正一採集; 1♀. 京都市ミヤマギ, 14. VI. 1983, 正木 清採集; [大阪府 ] 1♂1♀. 箕面, 15. VI. 1958, Y. Hama採集; [兵庫県] 1♀. 加古川市, 18. VIII. 2007, T. Ueda採集; [山口県] 1♀. 萩市越ヶ浜, 25. X. 2007, 今坂正一採集; 九州 [福岡県] 1♀. 北九州市門司区三角山, 15. VI. 1969, 松永善明採集; 1♂1♀. 久留米市鷹取山, 7. VII. 2005, 今坂正一採集; 1♂1♀. 久留米市桝形山, 10. VIII. 2005, 今坂正一採集; 1♀. 久留米市高良山, 15. IV. 2005, 今坂正一採集; [佐賀県] 1♀. 多久市宝蔵寺, 1. X. 2007, 今坂正一採集; 1♂. 白石町大原搦, 10. X. 2007, 今坂正一採集; [長崎県] 1♀. 大村市南河内林道, 4. VI. 1985, 今坂正一採集; 1♂. 大村市狸尾, 22. IV. 1980, 今坂正一採集; 1♂2♀♀. 長崎市日吉青年の家, 16. V. 1985, 今坂正一採集; 1♀. 長崎市愛宕山, 10. X. 1979, 今坂正一採集; 1♀. 長崎市岩屋山, 18. IV. 1979, 今坂正一採集; 1♂. 長崎市金比羅山, 18. V. 1976, 今坂正一採集; 1♀. 雲仙市雲仙ゴルフ場, 25. IX. 2007, 今坂正一採集; 1♂. 雲仙市田代原, 7. IX. 1975, 今坂正一採集; 1♀. 同, 2. VI. 1977, 今坂正一採集; 1♀. 島原市赤松谷, 27. V. 1980, 今坂正一採集; 1♂1♀. 島原市上木場, 6. V. 1976, 今坂正一採集; 1♀. 同, 31. V. 1985, 今坂正一採集; 1♂1♀. 島原市千本木, 8. V. 1984, 今坂正一採集; 1♂. 島原市崩山, 5. V. 1976, 今坂正一採集; 1♂. 南島原市加津佐町岩戸山, 9. V. 1976, 今坂正一採集; 1♀. 同, 29. V. 1985, 今坂正一採集; [対馬] 1♂1♀. 峰町目保呂, 25. VII. 1987, 今坂正一採集; 1♂2♀♀. 峰町アマセ, 25. VII. 1987, 今坂正一採集; Taiwan 2♂♂1♀. Shanping, 18. VIII. 1978, 杉野廣一採集; 2♂♂1♀. Lushan, 31. V. 1975, 今坂正一採集; 1♂1♀. Wushe, 7. V. 1975, 今坂正一採集; 2♂♂. 同, 31. V. 1975, 今坂正一採集; 1♂. 同, 14. V. 1977, 今坂正一採集; 2♂♂1♀. Lushan, 31. V. 1975, 今坂正一採集; 1♀. Nanshanchi, 16. IV. 1975, 今坂正一採集; 1♂. 同, 22. VI. 1976, 今坂正一採集; 1♂1♀. Puli, 29. V. 1975, 今坂正一採集; 2♀♀. Juisui, 17-18. V. 1975, 今坂正一採集; 1♂. Kenting Park, 25. IV. 1975, 今坂正一採集; Indonesia Lonbok Is. 1♀. Sapit, 19. IV. 1986, 田尾美野留採集; Sumatra 1♀. Barat, Mt. Merapi, ca. 1000m, 15. V. 1982, 西川直巳採集.

ツヤキバネサルハムシ(新称) Pagria flavopustulata (Baly, 1874)
                                (figs. 4, 5, 6, 14)
Nodostoma flavopustulata Baly, 1874, Trans. Ent. Soc. London, 1874: 169.(Japan: Nagasaki, Tsu Sima).
Pagria flavopustulata: Jacoby, 1908, Fauna Bri. India: 356; Ch?j?, 1935, Bull. Umeno Ent. Labo. (2): 14.(Kurume); Ch?j?, 1956, Philippine J. Sci., 85(1): 62-64.(Japan, Taiwan, Philippines, Sumatra and E. India); Moseyko and Medvedev, 2005a. Entomologicheskoe Obozrenie, 84(1): 115-116, fig. 11.
Pagria signata f. flavopustulata : Ch?j?, M., 1959. Family Chrysomelidae. Ch?j?, M., & al., 『Enumeratio Insectorum Montis Hikosan』(93pp.): 61.
Colposcelis signata: Ch?j? and Kimoto, 1961, Pac. Ins. 3(1): 143; Kimoto, 1961, Kontyu, 29: 166; Kimoto, 1964, Jour. Fac. Agr. Kyushu Univ., 13(2): 242, (nec Motschulsky).
  体長はやや小さい(2.2-2.4mm)。頭部と前胸背板は黒色で光沢が強い(fig. 4)。前胸背板の点刻は小さく疎、♀はやや密。頭頂の点刻は密。頭頂の側縁はほぼ直線状、前頭で内側に大きく曲がる(fig. 14)。♂の上翅は黄褐色でやや細長く、基部側縁は平行、合わせ目と側縁のみが黒く、隆起部後方の黒紋を欠く。♀は足を除いてほぼ全体が黒く、上翅基部の隆起部の側方に短い斜めの黄褐色紋を持つ(fig. 5)。Baly, 1874による原記載では、この黒化した♀の特徴を述べていると考えられる。上翅の点刻は小さいが翅端近くまで明瞭。♂交尾器前縁の上反部は広く扁平、前縁はほぼ切断状で、中央はややくぼむ(fig. 6)。
本州以南〜東南アジアまで、分布は広いが、国内では一般に局地的。ジャワ産の♂は上翅基部の隆起部の後方に濃色紋を持つ個体もある。種小名は「黄色い小隆起」の意。♀の上翅基部の黄褐色紋のことか?
分布:Japan (本州、四国、九州、対馬、下甑島);Taiwan, Southern China, Vietnam, Thailand, Myanma, Nepal, Southern India, Indonesia (Sumatra, Jawa Is.: new record), Philippines (Luzon Is., Mindoro Is.).
検視データ:Japan 本州 [京都府] 1♂. 京都市宝ヶ池, 9. IX. 1975, 今坂正一採集; 四国 [高知県] 1♀. 伊野町波川, 29. VIII. 1981, R. Shimamoto採集; 九州 [福岡県] 1♂1♀. 久留米市高良山, 6. III. 1999, 今坂正一採集; 1♂. 同, 26. VIII. 2005, 今坂正一採集; [佐賀県] 1♀. 白石町有明町, 10. X. 2007, 今坂正一採集; [長崎県] 1♀. 南島原市西有家町須川, 15. X. 2004, 今坂正一採集; [鹿児島県] 1♂. 知覧町下郡, 27. II. 2006, 今坂正一採集; [対馬] 1♂. 上対馬町佐須奈, 18. V. 1984, 今坂正一採集; [下甑島] 1♀. 手打, 5-6. VIII. 1975, 槇原 寛採集; 1♂2♀♀. 芦浜, 15. VI. 1982, 今坂正一採集; 2♂♂. 青瀬, 19. VI. 1982, 今坂正一採集; Taiwan 1♂. Sungkang, 1-10. V. 1976, 窪木幹夫採集; 1♀. Lushan, 1. VI. 1975, 今坂正一採集; 1♂. 同, 21. VI. 1976, 今坂正一採集; Thailand 1♂. Chiang Dao, 3. VI. 1980, 田尾美野留採集; Indonesia Jawa Is. 3♂♂3♀♀. 13-14km from Sukosari, 5. V. 1982, 田尾美野留採集.

チビキバネサルハムシ(新称) Pagria ingibbosa Pic, 1929
                                (figs. 7, 8, 15)
Pagria ingibbosa Pic, 1929, Mel. Exot. Ent. 53: 35, (Tonkin); Kimoto and Gressitt, 1982, Esakia, (18): 17. (synonym of signata); Moseyko et Medvedev, 2005a, Entomologicheskoe Obozrenie, 84(1): 118, fig. 3.
Colposcelis signata: Kimoto and Gressitt, 1966, Pac. Ins. 8(2): 503-504, fig. 9b. (Ryukyu, nec Motschulsky)
Pagria signata: Kimoto and Gressitt, 1982, Esakia, (18): 17-18. (nec Motschulsky)
  日本産の中で最も小型(1.9-2.3mm)。頭部と前胸背板は黒く、青〜銅色の金属光沢を持つ(figs. 7, 15)。前胸背板の点刻はやや大きく密、側方はより大きい。頭頂の点刻は小さく疎。頭頂の側縁はほぼ直線状(fig. 15)。上翅は黄褐色で、やや短く丸みが強いが、基部側縁は平行、合わせ目と側縁は黒く、基部の隆起部の後方は丸く窪み、やや黒ずむ、左右の黒紋は繋がらない。上翅の点刻は小さいが中央後まで明瞭。♂交尾器前縁は急角度で上反し、狭い (fig. 8)。
 前述のように、Moseyko らはIki Is.、?Shikoku Is., Kiu Shiu, Misaki、Kobeなど各地から記録しているが、実際に日本産として標本を確認できたものは、九州南部と阿嘉島などごく少数で、かなり稀。東南アジアには広く分布するようである。
 Kimoto and Gressitt, 1966に描画・図示してある琉球産のColposcelis signataは、本種の特徴を色濃く反映しており、P. ingibbosaで間違いないと思われる(木元・滝沢, 1994にもこの図が使用されてる)。今のところ、琉球諸島から確認できているのはこの1種のみ。Malaysia・Indonesia など東南アジア産は前胸の金属光沢が弱く、♀はやや大型。
 種小名は「瘤がない」の意。Pic, 1929は記載文の中で、signataの上翅基部にある小隆起が本種には無いと述べている。
分布:Japan (本州、九州、壱岐)、Ryukyu (阿嘉島);Southern and Southeastern China, Vietnam, Thailand, Singapore, Malaysia(new record), Indonesia (Sumba Is., Lonbok Is.)(new record), Nepal, USA: Hawaiian Iss.
検視データ:Japan 九州 [鹿児島県] 1♂. 宮之城町, 10. X. 2007, T. Tsukada採集; Ryukyu [沖縄県] 阿嘉島1♂. 5. V. 1982, 南 雅之採集; Malaysia 1♂. Karak, 25. V. 1981, 今坂正一採集. Indonesia Sumba Is. 1♀. Elopada, Waikabubak, 7. V. 1986, 田尾美野留採集; Lonbok Is. 1♀. Sapit, 19. IV. 1986, 田尾美野留採集.

マルキバネサルハムシ(新称) Pagria ussuriensis Moseyko et Medvedev, 2005
                                (figs. 9, 10, 11, 12, 16)
Pagria ussuriensis Moseyko et Medvedev, 2005a, Entomologicheskoe Obozrenie, 84(1): 120-121, fig. 6.(Primorski Terr., Lake Khanka, Kamen-Rybolov)
Pagria signata ab. ussuriensis Roubal, 1929, Boll. Soc. Entomol. Ital. 61(5-6): 28. (Vladivostok)
 ムネアカキバネサルに次いで大きい(2.2-2.7mm)。頭部と前胸背板は黒く(fig. 9)、光沢があるが、時にほとんど光沢のない個体がある。時に頭頂と前胸背板前縁中央が狭く赤褐色。頭部と前胸背板の点刻は大きく密。頭頂の側縁はほぼ直線状でわずかに複眼の内側で波曲する(fig. 16)。上翅は黄褐色で、短く、丸みが強い(fig. 10)。上翅の合わせ目と側縁は黒く、上翅基部の隆起部の内方〜後方に黒紋を持ち、合わせ目を通じて左右の黒紋が菱形(fig. 9, 10)、あるいは八の字状に繋がる。しばしばこの黒紋は不明瞭になり、時に消失する。上翅の点刻はやや大きく、中央後では不明瞭。
 ♀には2型あり、通常は♂と同型であるが、時にツヤキバネサルの♀に良く似て、肢を除いてほぼ全体黒く、上翅基部の隆起部あるいは側方に黄褐色紋を持つ黒化型(fig. 11)が見られる。ツヤキバネサルと同時に得られることもあるので、注意が必要。本種は上翅が短く、前胸背板の点刻が大きく密であり、頭頂の側縁とその付近の形態でも区別できる。♂交尾器前縁はやや尖り、微妙に左右非対称。前縁は狭く上反する(fig. 12)。
  木元, 1984にヒメキバネサル P. signataとして図示されている個体は、本種の特徴を良く表している。本学名での日本から記録は初めてである。本土の大河川沿いで多く得られており、クズに見られる。九重の高原や脊振山ではマルバハギに集まっていた。本種は今のところ、九州より北の地域で見つかっている。種小名は「ウスリーの」の意。
分布:Japan (本州、九州、対馬)(new record);Russia, Northeastern China, North and South Korea.
検視データ:Japan 本州 [栃木県] 3♀♀. 氏家町向河原. 16. VIII. 2004, 南 雅之採集; [埼玉県] 2♀♀. 北川辺町本郷. 16. VIII. 2004, 南 雅之採集; [東京都] 1♂. 高尾山. 3. VII. 1984, 南 雅之採集; 2♀♀. 同, 1. VII. 1986, 南 雅之採集; [山梨県] 1♀. 山中湖村大平山. 4. IX. 2006, 南 雅之採集; [京都府] 1♀. 京都市宝ヶ池, 9. IX. 1975, 今坂正一採集;  1♂2♀♀. 京都市桂川, 3. VI. 1976, 正木 清採集; 1♂2♀♀. 同, 2. VIII. 1982, 正木 清採集; 1♀. 同, 13. VII. 1983, 正木 清採集; 1♂1♀. 同, 29. IX. 1983, 正木 清採集; 1♀. 京都市木津川, 31. V. 1976, 正木 清採集; 1♂2♀♀. 同, 3. VI. 1976, 正木 清採集; 1♀. 向日市淀川, 3. VI. 1976, 正木 清採集; 1♂. 向日市光明寺, 3. VI. 1977, 正木 清採集; [和歌山県] 1♂. 御坊市, 26. VII. 2007, T. Ueda採集; [兵庫県] 1♂. 加古川市, 4. VI. 2007, T. Ueda採集; [鳥取県] 1♂. 大山町伯耆大山, 15. VI. 1974, 正木 清採集; 1♀. 同, 11-12. VI. 1976, 正木 清採集; 1♀. 大山町伯耆大山, 11-12. VI. 1976, 正木 清採集; [島根県] 1♂1♀. 津和野町直地. 3. VI. 2002, 南 雅之採集; 九州 [福岡県] 1♀. 久留米市桝形山, 7. VII. 2005, 今坂正一採集; 1♂. 久留米市高良山, 6. III. 1999, 今坂正一採集; 1♀. 高良山, 15. IV. 2005, 今坂正一採集; [佐賀県] 1♂1♀. 神埼市脊振山, 27. VIII. 2007, 今坂正一採集; 3♂♂. 白石町有明町, 10. X. 2007, 今坂正一採集; [長崎県] 1♂. 島原市崩山, 28. III. 1976, 今坂正一採集; 2♂♂. 同, 5. V. 1976, 今坂正一採集; 1♂. 南島原市加津佐町岩戸山, 7. VII. 1976, 今坂正一採集; [大分県] 1♂. 九重町日出生台, 16. VII. 1995, 今坂正一採集; 1♂. 九重町飯田高原, 7. IX. 2007, 今坂正一採集; 2♂♂1♀. 同, 12. IX. 2007, 今坂正一採集; 2♀♀. 九重町地蔵原, 16. VI. 2006, 今坂正一採集; 1♂. 同, 20. V. 2007, 今坂正一採集; [対馬] 1♂3♀♀. 目保呂, 29. VII. 1986, 南 雅之採集.

  なお、筆者の一人今坂が精力的に調査した長崎県島原半島、久留米市高良山から耳納山地、佐賀市付近、京都市付近、対馬では、それぞれ、チビキバネサルを除く3種が確認されており、そのうち、同時に2種が得られている地点も数ヵ所存在する。
 多分、国内産4種のうち、上記3種は各地で普通にほぼ混生していると考えられる。また、残るチビキバネサルも、九州南部では他の種と混生している可能性が強い。
 かつて、色々な色彩型が同一種の個体変異と認識されていたのは、互いによく似ていることと、複数種が同時に見られることに起因しているものと思われる。
  なお、まだ寒い3月初旬に、ツヤキバネサルとマルキバネサルが枯れ草の中で越冬しているものが同時に得られた。一般に、ほぼ年間を通じて成虫が発見され、夏から秋に個体数が増加するようなので、この時期に羽化して成虫で越冬し、夏頃まで活動を続けるのではないかと想像される。
 また、P. signataとしての観察結果であるのでどの種のことか不明であるが、竹中(1975)は、「越冬した成虫は4月頃あらわれ、ダイズ・アズキ・ハギなど豆科植物の葉を食べる。托葉のかげに3〜10数個の卵を二重にかさなることなくていねいにならべて産卵し、・・後略。幼虫は茎内に入り、これを食べて成長する。」と述べている。

<東南アジア産>
 筆者らの所蔵標本を確認したところ、さらに東南アジア産Pagria属を3種見出したので記録しておきたい。このうち、一種は、Moseyko et Medvedev, 2005aが示した15種に該当するかどうか判断が付かなかったもので、概形を示しておく。東南アジアには、まだ多少の未知種が分布している可能性もあり、今後の調査に期待したい。

Pagria signata (Motschulsky, 1858)
(figs. 17, 18, 19)
Metachroma signata Motschulsky, 1858, Etud. Ent., 7:110.(Burma)
Pagria signata: Jacoby, 1908, Fauna Bri. India: 356.; Kimoto, 1969, Esakia, (7): 14.(nec Motschulsky); Kimoto, 1982, Esakia, (18): 17-18. (nec Motschulsky); Kimoto, 2003, The Leaf beetle of Thailand and Indochina: 72-73, fig. 10; Kimoto and Takizawa, 1994, Leaf beetle of Japan: 125, 288, plate 52, fig. 3.(nec Motschulsky); Moseyko and Medvedev, 2005a. Entomologicheskoe Obozrenie, 84(1): 115, fig. 2.  
Colposcelis signata: Mohamedsaid, 2004. Catalogue of the Malaysian Chrysomelidae: 43. Ch?j? and Kimoto, 1961, Pac. Ins. 3(1): 143.(nec Motschulsky); Gressitt and Kimoto, 1961, Pac. Ins. Mon. 1A: 232-233.(nec Motschulsky); Nakane, 1963, Icon. Ins. Japon. Col. nat. ed., 2: 234.(nec Motschulsky); Kimoto, 1964, Jour. Fac. Agr. Kyushu Univ., 13(2): 242-243.(nec Motschulsky).
 概形はムネアカキバネサルに似るが、前胸背板の点刻はより小さく疎(fig. 17)。頭頂の側縁は複眼上部で角張って強く波曲する(fig. 19)。♂交尾器はむしろ、ツヤキバネサルに似て、前縁は広く上反し扁平(fig. 18)。
 図示した個体は、♂交尾器を取り出す際に破損したので、背面からの形は不完全。側面からの形は、Moseyko and Medvedev, 2005aの図によく一致する。種小名は「十字架の印の」の意。今回示した♂では、そのような感じは見られないが、♀はやや黒化し、マルキバネサルに似ているようなので、上翅基部と合わせ目の濃色紋が十字架に見えたのかもしれない。
分布:Vietnam, Laos, Thailand, Myanma, India, Malaysia(new record)
検視データ:Malaysia 1♂. Karak, 20. V. 1981, 畑山武一郎採集.

Pagria muiri Bryant, 1942
(figs. 20, 21)
Pagria muiri Bryant, 1942, Bull. Entmol. Res., 33: 34; Moseyko et Medvedev, 2005, Entomologicheskoe Obozrenie, 84(1): 119, fig. 8.
 概形はムネアカキバネサルや前種に似るが、上翅紋が顕著である(fig. 21)。頭頂の側縁は複眼上部で角張って強く波曲し(fig. 20)、前種とよく似る。今回は、♀のみが確認できた。
分布:Indonesia (Larat Is.), Philippines (Luzon Is., Panay Is.)
検視データ:Philippines Luzon Is. 1♀. Quezon national forest Park, 20. IV. 1981, 田尾美野留採集; 1♀. 同, 21. IV. 1981, 田尾美野留採集.

Pagria sp.
(fig. 22, 23, 24)
 ほとんど全体が淡い黄白色で、上翅合わせ目が狭く濃色になる程度(fig. 22)。頭頂の側縁は複眼上部で強く波曲し(fig. 24)、やや前2種と似る。♂交尾器の形(fig. 23)も含めて、Moseyko and Medvedev, 2005aの記述や図にあるベトナム産のP. vietonamicaや、P. piciに近いと思われるが、確信が持てなかった。
検視データ:Thailand 1♂. Chiang Dao, 28-31. VI. 1980, 田尾美野留採集.

<まとめ> 
  Moseyko and Medvedev, 2005a&bを参考に、Pagria属(キバネサルハムシ属:新称)に所属する種として、日本から4種、東南アジアの各地から6種、計7種を記録した。各種は外部形態、色彩、斑紋パターン、♂交尾器の形などで区別されるが、今回、頭頂の側縁の形も分類の形質として有効なことを示した。

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