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ヨツボシツヤヒメテントウの追加記録

今坂正一

 ヨツボシツヤヒメテントウ Hyperaspis leechi Miyatakeは、中国(中部・東北部)から新種記載された種で、モンゴル・朝鮮・東南シベリアからも記録されている。
  日本国内では、長崎市金比羅山で1989年5月3日に野田が採集した個体を野田・今坂(1989)がギョウトクテントウ Hyperaspis gyotokui H.Kamiyaとして記録したが、その写真を見て疑問に思われた佐々治博士が再調査され、佐々治(1989)により日本新記録のヨツボシツヤヒメテントウ♀として記録されたものが唯一知られている。
 採集地は佐々治博士の若い日のフィールドであり、後者の報文には、「筆者がかつて頻繁に採集に通った所で、長崎市は外国人の出入りも多いので、近年長崎市に移入したものが山頂に吹き上げられた可能性も皆無ではない。」と追記されている。
  本種を隣接する長崎県諫早市で採集したので、追加記録として報告しておきたい。

1ex. 諫早市平山 26. VI. 2007. 今坂正一採集
3exs. 諫早市栗面町 16. X. 2007. 今坂正一採集

  本種はギョウトクテントウに似るが、3.0-3.5mmと大きく、上翅斑紋は各2,対の4個で、斑紋はかなり小さく赤みが強いので、区別は容易である。
  平山産は、耕作地に近接する照葉樹林の林縁樹葉上、栗面町産は日当たりの良い斜面に作られた果樹園に隣接し、放棄畑に生えたセイタカアワダチソウ群落の端、やや日陰になった場所のイヌタデ花上に見られた。後者の3頭はいずれも、セイタカアワダチソウのものと見られる黄色い花粉を全身に付着させていた。この秋のもののうち、1個体を生かしたまま容器中に保管しておいたところ、水分の補給だけで、2ヶ月以上経った年末でも生存しているので、成虫越冬するものと思われる。前記2採集地は、互いに1kmほど隔たっており、長崎市内の初記録の場所からは、15km程度離れている。長崎市に人為的に移入されたかどうかの判定は困難であるが、分布域が次第に広がっていることは注視すべきであろう。

引用文献
野田正美・今坂正一(1989)月刊むし, (223): 41-42.
佐々治寛之(1989)月刊むし, (226): 6.


「ヨツボシツヤヒメテントウの追加記録」の訂正

今坂正一

  筆者は、月刊むし, (450): 61-62.に上記の報告をした中で、「ヨツボシツヤヒメテントウ Hyperaspis leechi Miyatakeは、中略、佐々治(1989)により日本新記録のヨツボシツヤヒメテントウ♀として記録されたものが唯一知られている。」と書いた。
 しかし、実際は2例目として、長崎市金比羅山(1ex. 17. V. 2000, 和田義人採集)から和田ほか(2001)が記録し、さらに、山元・佐々治(2004)も上記場所から11km離れた長崎市多似良町から、2004年の6, 7, 9月にヨモギ葉上から採集した11♂♂4♀♀を報告している。
  前者は共著者として確認したはずであるし、後者も言われてみたら見覚えがあったのに、まったく失念していた。お詫びし、訂正したい。
 以上の結果、少なくとも本種は、長崎市西部の海岸より諫早市中央の耕作地まで、かなり広い範囲に棲息していることになる。また、自身の観察と総合するとヨモギ・セイタカアワダチソウなど、キク科を好む傾向があるようである。
 誤りをご指摘・ご教示いただいた長崎昆虫研究会の野田正美・山元宣征両氏に心よりお礼申し上げる。

  参考文献
和田義人ほか(2001)こがねむし, (65): 19-57.
山元宣征・佐々治寛之(2004)月刊むし, (406): 11-12.


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