今坂正一の世界
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ツマアカクビボソムシ九州に産す

今坂正一

 従来、本州と四国から知られているツマアカクビボソムシ Macratria apicalis Lewisを、九州の平地で採集したので報告しておきたい。

2exs. 福岡県久留米市小森野, 28. VII. 2006, 今坂採集・同定.

 本種は一見、コクビボソムシ Macratria fluviatilis Lewisをやや大型にしたような、あるいは、アカクビボソムシ Macratria serialis Lewisの体色を濃くしたように見える種であるが、触角が長いことと、上翅がほぼ黒褐色で、末端のみが赤褐色を呈することで、両種から簡単に区別できる。
 本種は黒沢ほか(1985)以外に、ほとんど図示されたことがないようである。 採集したのは、低地の耕作地(田圃など)に囲まれた住宅地の中で、やや放置された生け垣の葉上と、植木用の樹木を栽培している畑の葉上から採集された。九州では今までまったく本種の記録がないこと、かなり人為的な場所での発見であることから考えて、あるいは、植木と共に、何らかの方法で九州以外の地域から持ち込まれた可能性も考えられる。
 ともあれ、文献上で産地名が確認できたのは愛知(稲武町面ノ木峠)・岡山(岡山市中原橋)・広島(広島市湯来町下水内)の3県だけで(それも、各県1例だけの記録であった)、比較的調査が行き届いている神奈川県、福井県、茨城県などのリストからは見いだせなかった。生態が未知なこともあり、かなり珍しい種のようである。

引用文献
黒沢良彦ほか, 1985. 原色日本甲虫図鑑(III), p416. pl. 71-6. 保育社.
中村慎吾・梅森龍史, 2001. 比婆科学, (199): 55.
穂積俊文, 1990. 愛知県の昆虫(上): 281.
山地治, 1997. 岡山県産昆虫目録鞘翅(甲虫)目: 315, (株)ウエスコ.

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喜界島で2007年に採集した甲虫