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武雄市宇宙科学館周辺の甲虫相

今坂 正一・西田 光康

はじめに
佐賀県立宇宙科学館では数年前から周辺の昆虫類の分布調査を行い,既に蛾類,蝶類,トンボ類などについては調査が終了している.引き続き,昨年(2003年度)は西田が,そして今年(2004年度)は今坂が,宇宙科学館からの依頼を受けて甲虫類の調査を行った.調査を企画し,調査中は色々と便宜を図っていただき,また公表する機会を与えていただいた宇宙科学館および中原正登氏を始めとするスタッフの方々に感謝申し上げる.また,本文の搭載について御助力いただいた本誌編集部の古川雅通氏,2〜3種のゾウムシを同定して頂いた森本桂九大名誉教授と小島弘昭九大博物館助手,ハナノミ科の同定をお願いした畑山武一郎氏,コメツキムシ科の一部の種を同定していただいた正木清氏,ハネナシナガクチキについてご教示いただいた水野弘造氏にもお礼申し上げる.

調査範囲
宇宙科学館は佐賀県武雄市の市中心部より2km程度南方向の永島地区,通称武雄市保養村内にあり,標高はほぼ海抜50mである.調査範囲は,宇宙科学館を含む谷沿いの500m×300mぐらいの範囲で,大部分が公園化されているが,本来は,山麓の谷間に開けた水田を主とする耕作地で,周囲を里山的な標高100m〜200m程度の低山に囲まれている.隣接する山林の大部分は広葉樹の雑木林で,スギ・ヒノキ植林を交える.谷の最奥部(西端)に本来は灌漑用の内子溜池が有り,そこから細流が流れ出して,ほぼ500m程度東流し,東端の池ノ内溜池に注いでいる.細流の護岸はホタル類が生息しやすく子供たちでも危険が少ないように親水護岸が整備されている.また,西南へ向かう谷の一部には放棄水田跡の草地と里山の昆虫類を誘引するためのクヌギ植林地が設置されている(図1参照).

調査状況
<2003年度西田調査状況>
2003年度は西田が調査を担当した.年間を通じて,ほぼ月に1回のペースで行い,宇宙科学館周辺と,約1km北西に位置する御船山周辺で採集を行った.御船山は標高207m,周囲2.5km程度の低山で,大部分をシイなどの常緑広葉樹で覆われ,山頂部は鋭角的な岩山が聳える特徴的な山である.調査日時と調査内容は以下の通りである.
◎2003年4月26日 御船山周辺,ビーティング調査
◎2003年5月18日 宇宙科学館周辺,及び御船山周辺,ビーティング調査
◎2003年6月10日 宇宙科学館周辺,ビーティング調査
◎2003年6月13日 御船山周辺,ライトトラップ調査
◎2003年8月16日 宇宙科学館周辺,及び御船山周辺,ビーティング調査,落葉調査
◎2003年9月2日 御船山周辺,ライトトラップ調査
◎2003年10月11日 御船山周辺,ベイトトラップ調査
◎2003年10月13日 御船山周辺,腐肉,糞,落葉調査
◎2004年2月1日 御船山周辺,落葉調査
◎2004年3月27日 御船山周辺,ビーティング落葉調査
<2004年度今坂調査状況>
2004年度は今坂が調査を担当した.今坂は調査地を宇宙科学館周辺に限定して,甲虫の発生種数が最も多いと思われる5〜7月に,月2回平均で集中して行い,任意調査の他,ライト,ベイト,バナナトラップ調査など可能なものは同時に行った(図1参照).
◎2004年5月7日 宇宙科学館周辺,任意調査
◎2004年5月7日〜8日 宇宙科学館周辺,ベイトトラップ調査
◎2004年5月22日 宇宙科学館周辺,任意調査
◎2004年6月3日 宇宙科学館周辺,任意調査
◎2004年6月3日〜5日 宇宙科学館周辺,バナナトラップ,ライトトラップ調査
◎2004年6月18日 宇宙科学館周辺,任意調査,及びライトトラップ調査
◎2004年7月1日 宇宙科学館周辺,任意調査,及びライトトラップ調査
◎2004年7月1日〜3日 宇宙科学館周辺,バナナトラップ,ベイトトラップ調査
◎2004年7月18日 宇宙科学館周辺,任意調査,及びライトトラップ調査
なお,西田によるビーティング調査は,主として林縁の生葉や枯れ枝などを叩いて,ビーティングネット上に虫を受ける方法,ライトトラップ調査は白膜を張ってブラックライトを点灯するカーテン法,落葉調査は腐葉土を篩に掛ける方法,ベイトトラップ調査はエサを入れたポリカップを地中に埋めて落ち込んだ虫を採集する方法, 腐肉,糞調査はベイトトラップ調査のエサとして腐肉や,糞を用いる方法である.
また,今坂による任意調査は,西田のビーティング調査,見つけ取り,捕虫網で草をなぎ払って採集するスウィーピング調査などを兼ねたもの.ライトトラップ調査は大部分がカーテン法であるが,6月3日〜5日はカなどの採集に使用される吸引式捕虫器を使用した.ベイトトラップ調査は西田と同様.バナナトラップ調査は,醗酵させて焼酎を加えたバナナを網に入れて樹幹などに止めたもので,樹液などに集まる甲虫を目的とする.

調査結果
2003年度の西田による調査,2004年度の今坂による調査,それに,この数年間の宇宙科学館スタッフによる採集品を加えて,武雄市永島にある宇宙科学館とその周辺地域から63科447種の甲虫が採集された.このうち,宇宙科学館周辺が58科389種,御船山周辺が40科134種である.採集品はそれぞれ調査者により同定され,本文をまとめるにあたって,今坂が再度同定チェックを行い,全て宇宙科学館に収蔵された.ゾウムシ科1種(森本桂九大名誉教授),ゾウムシ科2種(小島弘昭九大博物館助手),ハナノミ科(畑山武一郎氏)とコメツキムシ科の一部(正木清氏)については,同定をお願いした.
調査結果は,調査者,調査日,確認種,採集個体数等が解るような形で,表-1に示した.

表-1
宇宙科学館スタッフによる採集品については,表-1の狭い欄内にデータを表示することが困難であるので以下に示す.
<宇宙科学館スタッフによる採集品>
ハンミョウ 1ex., 27. V. 1999, M.Hironaka 採集., 1ex., 20. IV. 1999, M.Tashima 採集.1ex., 4. IV. 2002, スタッフ採集.
ニワハンミョウ 1ex., 4. IV. 2003, スタッフ採集.
オオオサムシ 1ex., 1. V. 2003, スタッフ採集.
ヒメオサムシ 1ex., 20. IV. 1999, M.Tashima 採集., 1ex., 14. VI. 2003, スタッフ採集.
オオゴモクムシ 2exs., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
オオズケゴモクムシ 1ex., 2. IX. 2003, スタッフ採集.
オオホソクビゴミムシ  1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
ミイデラゴミムシ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
ヤマトエンマムシ 1ex., 26. VII. 2003, スタッフ採集.
オオモモブトシデムシ 1ex., 11. VI. 1999, M.Tashima 採集., 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
クロガネハネカクシ 1ex., 27. VI. 2004, スタッフ採集.
ネブトクワガタ 1ex., 25. VI. 2003, スタッフ採集., 1ex., 30. VII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 11. VIII. 2004, スタッフ採集.
ヒラタクワガタ 1ex., 5. VII. 1999, M.Tashima 採集., 1ex., 31. VII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 1. VIII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 22. VI. 2004, スタッフ採集., 1ex., 6. VII. 2004, スタッフ採集.
コクワガタ 1ex., 1-31. VII. 2002, スタッフ採集., 1ex., 30. VII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 3. VIII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 19. VI. 2004, スタッフ採集.
ミヤマクワガタ 1ex., 21. VII. 2004, スタッフ採集.
ノコギリクワガタ 1ex., 17. VII. 1999, M.Hironaka 採集., 1ex., 29. VI. 2004, スタッフ採集., 1ex., 8. VIII. 2004, スタッフ採集.
オオクロコガネ 1ex., 11. VI. 1999, M.Tashima 採集.
サツマコフキコガネ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
スジビロウドコガネ 1ex., 11. VI. 1999, M.Tashima 採集.
アオドウガネ 2exs., 2. IX. 2003, スタッフ採集.
ドウガネブイブイ 2exs., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
サクラコガネ 2exs., 11. VI. 1999, M.Tashima 採集.
ヒメコガネ 1ex., 2. IX. 2003, スタッフ採集.
セマダラコガネ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
コガネムシ 7exs., 11. VI. 1999, M.Tashima 採集.
スジコガネ 3exs., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
マメコガネ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
シロテンハナムグリ 2exs., 1. VIII. 2003, スタッフ採集.
カナブン 1ex., 1. VIII. 2003, スタッフ採集., 3exs., 3. VIII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 15. VII. 2004, スタッフ採集., 2exs., 21. VII. 2004, スタッフ採集., 2exs., 28. VII. 2004, スタッフ採集.
カブトムシ 1ex., 8. VII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 31. VII. 2003, スタッフ採集., 2exs., 8. VIII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 6. VII. 2004, スタッフ採集., 1ex., 28. VII. 2004, スタッフ採集.
タマムシ 1ex., 11. VII. 2002, スタッフ採集.
サビキコリ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
フタモンウバタマコメツキ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
オオマドボタル 1ex., 25. VI. 2003, スタッフ採集.
ヨツボシケシキスイ 1ex., 30. VII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 3. VIII. 2003, スタッフ採集.
ナミテントウ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
カトウカミキリモドキ 1ex., 8. VI. 2003, スタッフ採集.
ノコギリカミキリ 1ex., 5. VII. 1999, M.Tashima 採集., 2exs., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
ヨツスジハナカミキリ九州亜種 2exs., 11. VI. 1999, M.Tashima 採集., 1ex., 11. VII. 2003, スタッフ採集.
オオヨツスジハナカミキリ 1ex., 8. VII. 2002, スタッフ採集., 1ex., 9. VII. 2003, スタッフ採集., 1ex., 17. VII. 2003, スタッフ採集.
ミヤマカミキリ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
キスジトラカミキリ 1ex., 1. V. 2003, スタッフ採集.
セミスジコブヒゲカミキリ 1ex., 19. VII. 1999, M.Furukawa 採集.
ラミーカミキリ 2exs., 17. VII. 1999, M.Hironaka 採集.
シロコブゾウムシ 1ex., 11. VI. 1999, M.Tashima 採集.
<科別の種数>
今回63科447種の甲虫が採集されたが,その科別の種数構成は表-2のとおりである.
表-2
宇宙科学館周辺では調査頻度が高いために,全体の87%に当たる389種が採集された.最も種数が多かったのはハムシ科の54種で,次いでオサムシ科39種,コガネムシ科33種,ゾウムシ科30種,カミキリムシ科27種,ハネカクシ科26種,コメツキムシ科21種,テントウムシ科17種などである.この地域に生息が予想される種が万遍なく得られていると考えられる.
一方,御船山周辺では40科134種が採集された.最も種数が多かったのはオサムシ科18種で,次いでハムシ科17種,ゾウムシ科11種,コガネムシ科8種,コメツキムシ科8種,ガムシ科7種,カミキリムシ科6種,ジョウカイボン科5種,ハネカクシ科4種,.テントウムシ科4種などである.ライトやベイト,落葉などで得られた種が比較的多く,種数が少ない割に宇宙科学館周辺で得られていない種が58種(採集された種の43%)と多い.御船山はシイなど比較的大木の常緑樹林に覆われており,宇宙科学館周辺よりは森林性の種が豊富であると考えられる.

<出現種>
科ごとの出現種の傾向と注目される種について述べる.

1.ナガヒラタムシ 低地の発達した樹林で採集されることが多い.

2.エグリゴミムシ 低地の落葉層が発達した樹林で採集される.

3.ハンミョウは河原や空き地の裸地,ニワハンミョウは開けた林道などで見られる.

4.オサムシ科の大部分は,水辺,裸地,草地などに生息する種.林床性のクロツヤヒラタゴミムシや,樹上性のジュウジゴミムシなどが一部含まれている.

5.オオオサムシ 西九州ではやや山地性で低地では少ない.

6.アシグロアオゴミムシ(図2-1) 近畿以西の本州と九州,琉球で記録が有るが珍しい種.生態は良くわかっていない.佐賀県内では有明干拓で記録した(西田, 2000).

7.コアオアトキリゴミムシ(図2-2) 樹上性の種で,常緑樹の発達した林で見られ,多くない.

8.ミイデラゴミムシ 河川敷や裸地,荒れ地などでよく見られた種だが,最近は見ない.

9.ゲンゴロウ科とガムシ科では,水田や溜め池など人為的な止水に見られる種が出現した.

10.ヤマトエンマムシ,エンマムシなど大型種が採集されたが,前者は比較的少ない.

11.タマキノコムシ科では低地の樹林で落葉層が発達した場所で見られる種が出現した.

12.シデムシ科ではクロシデムシなど大型種も含めてやや多い4種が採集された.

13.ハネカクシ科では,ライトとベイトなどで29種という多くの種類が採集された.大部分が水辺,裸地,草地などオープンな環境に生息する種である.

14.マツウラヒゲナガアリヅカムシ(図2-3) 低地の落葉層が発達した樹林で見られる.Nomura (2002)によると,本種は佐賀県西部から長崎県北部の固有種で,周辺には近似の別種が分布する.種内でも,♂交尾器内部骨片に地域変異があり,分布域内で6つの型に分かれると言う.多良山系にも分布する分化型生物(固有種)として,今坂(2002b)でも紹介した.

15.オオトゲアリヅカムシ 低地〜山地の落葉層が発達した樹林で見られる.

16.コクロデオキノコムシ(図2-4) 菌類から得られる小型種.九州の固有種で少ない.佐賀県内では黒髪山から記録した(西田, 1988).

17.ツマグロマルハナノミダマシ 水辺の近くでライトに集まる.

18.クワガタムシ科では,ネブト,ヒラタ,コ,ノコギリと,平地で見られる一通りの種が得られた.ネブトは湿気の多い発達した樹林で見られることが多いが,当地では比較的普通に見られる.

19.コガネムシ科では,低地の樹林で見られる33種が得られた.ヒゴシマビロウドコガネ(図2-5)は九州の固有種で,暖地性のヒメカンショコガネ,ジュウシチホシハナムグリなどと共に発達した常緑広葉樹林で見られる種である.腐食物に集まるフトカドエンマコガネも余り多くない.スギ・ヒノキなどの葉を後食するスジ,オオスジなどのコガネも得られた.

20.水辺環境を反映して,トビイロマルハナノミ,エダヒゲナガハナノミ,ヒラタドロムシ,チビドロムシなどもライトに飛来した.周辺住民の方たちがホタル狩りを楽しみにされているゲンジボタルは多く,最近むしろ減少が著しいヘイケボタル(図2-7)も溜め池脇で見つかった.

21.平地では見ることが少なくなったタマムシが見つかっている.

22.コメツキムシ科では24種が見つかり,フタモンウバタマコメツキ,シモフリコメツキなど樹林性の種に加えて,コガタクシコメツキ,オオハナコメツキ,ニセクチブトコメツキなど草地や河川敷に多い種も得られた.

23.ベニボタル科ではやや山地性のカタアカハナボタル(図2-6)が見つかった.

24.樹林性の陸生ホタルであるオオマドボタルが見つかった.

25.ジョウカイボン科では低地の樹林に生息する種など13種が見つかった.分類が十分解明されていないこともあり,未記載種3種も含まれているが,このうちウスグロニンフ,ササキニンフ(図2-8)は九州固有種であり,後者は西九州からは最初の記録である.ジョウカイ類は湿気が高い谷間を好むので,当地は比較的湿気が保たれているものと考えられる.

26.ケシキスイ科は12種が見られ,バナナトラップにカタベニデオ,モンチビヒラタ,アカマダラ,コブスジ,ヨツボシなどが集まり,林床性のマルキマダラなどがベイトで得られた.コブスジケシキスイ(図2-9)は九州の固有種で記録の少ない種である.

27.オオバケデオネスイは頭でっかちの面白い形をした甲虫で,余りお目に掛からない.

28.食菌性甲虫も比較的多く,ムクゲキスイ2種,ツヤヒメオオキノコ,テントウダマシ類5種,ダエンミジンムシなどが採集された.最後の種は落葉下性だが余り記録がない.

29.アナムネカクホソカタムシ(図2-10) 微少な甲虫だが,前胸の両側に透けた部分が有り,穴があいたように見える奇妙な虫である.ライトで得られ,本州,四国,九州で記録されているが,今坂は初見である.佐賀県初記録と思う.

30.テントウムシ科ではアミダ,オオタツマアカ,ベニヘリなど常緑広葉樹林で見られる種が主であった.ウメのカイガラムシを食べるアカホシテントウや,ヤナギハムシやクルミハムシを食べるカメノコテントウも見られ,後者は西九州では山地で時に見つかる程度で少ない.

31.ホソカタムシ科は枯れ木などに集まり,比較的暖地の樹林に多いグループであるが,当地では3種見つかり,マメヒラタホソカタムシ(図2-11)は図鑑類では本州のみで九州の分布がない.佐賀県初記録.

32.ハネナシナガクチキムシの一種(図2-12) 後翅が退化したヒョウタン形の稀種で,最近,筆者の一人西田により,採り方が明らかにされ,注目されている.冬季が活動の中心で,発達した常緑広葉樹林の林床に有る,落ち葉がテント状に覆った枯れ枝上で活動することが明らかになった(西田 2004a).後翅が退化しているため,移動力が少なく,各地で変化しているはずとの思いで,少ない個体数をタイプとして,数種が新種記載された.この類に詳しい水野弘造氏のご教示によると,種の特徴とされている形質が不明瞭で,同一地点で採集されたものも個体変異が非常に大きいために,現状では種名が決定できないそうである.

33.ミヤケナガクチキムシ 普通山地の樹葉上で見られる.

34.ハナノミ科はヒメハナノミ類8種が得られた.大部分が暖地の樹林性の種である.

35.カミキリモドキ科は5種が得られ,モモブトは草地性,その他は樹林性の種である.

36.アリモドキ科は8種が得られ,ケオビ,ホソクビ,ヨツボシホソなどは草地性,アカクビボソムシ,アカホソ,ムナグロホソは樹林性である.ツヤチビホソアリモドキは河川の石に付いてるコケの中で生活し,ヒラタホソアリモドキ(図2-13)は河原や砂浜など砂地にいるが,後者は図鑑類では本州,四国だけで九州の分布がない.佐賀県初記録.

37.キイロハナノミダマシ(図2-16) 発達した常緑広葉樹林の林縁で,樹葉上から見つかるが少ない.ご教示いただいた畑山氏によると,本州以南の西日本各地で見つかるが,局地的で少ないらしい.分類が進んでおらず,まだ近縁の新種もあるとのことである.

38.アカハムシダマシ(図2-14,15) 本州,四国,九州に広く分布するが,九州以外では普通山地性で個体数も少ない.図示したように,西九州と南九州では赤紫型(図2-14)と金緑型(図2-15)の2型が同時に出現する.Masumoto (1987)により,アオハムシダマシなどと共に,アカガネハムシダマシ Arthromacra decora (Marseul)のシノニムとして処理されたが,近々,筆者の一人今坂により,独立種として復活する予定である.

39.クチキムシ科は7種,ゴミムシダマシ科は5種が採集された.裸地性のコスナゴミムシダマシを除くと,いずれも樹林性の種である.

40.カミキリムシ科は27種が確認された.大部分が低地の樹林で枯れ枝を食べて育つ種であるが,カシやクリの生木を食害するミヤマカミキリ,ウメの枯れ枝の髄を食べるシロスジドウボソカミキリなどは里山で見られる種である.従来山地性と思われていたオオヨツスジハナカミキリが最近は平地でも多く見られ,スギ・ヒノキの枯れ材を食べて広がっているものと考えられる.ムネアカクロハナカミキリとキスジトラカミキリ,ハスオビヒゲナガカミキリなどは低地では少ない種である.

41.ハムシ科は57種が採集され,最も多かった.ツル植物の葉を食べるヤマイモ・キイロクビナガ(ヤマイモ),アカクビナガ・アカバネタマノミ(サルトリイバラ),アカガネサル・クビボソトビ(ブドウ類),クロアラハダトビ(ヘクソカズラ),ホソルリトビ・アケビタマノミ(アケビ),オオアカマルノミ(ボタンヅル)などが比較的多く,キイロナガツツ・バラルリツツ・ムシクソ・マダラカサハラ・クロオビカサハラ(以上クヌギ),ヤナギルリ(ヤナギ)などの落葉広葉樹を食べる種や,ツバキコブ(ツバキ),フタモンカサハラ・アラゲサル(シイ・カシ)など常緑広葉樹を食べる種も見られた.また,トゲアシクビボソ(ツユクサ),イタドリ(イタドリ),ヨモギ・アオバネサルハムシ(ヨモギ),オオバコトビ(オオバコ)など草地性の種も多く,特殊なものとしてイネネクイ(ハスなど),ジュンサイ(ヒシ)など溜め池に生息する種,タケ・ササを食べるタケトゲトゲ(図2-17)が採集された.最後の種は中国と国内では九州のみに産し,佐賀・長崎・鹿児島県などを除いて各地の平地〜低山地に多い.長崎県では記録が無く,多良山系からも記録がなかったが,最近,西田(2004b)として,嬉野町下宿から2003年5, 8月の採集記録を公表した.佐賀県下からは,江北町八町六角川原(西田, 1998)からも記録しているので,あるいは広く分布しているのかもしれない.

42.ヒゲナガゾウムシ科では,キノコ(菌食),ササセマル(枯れたメダケ),スネアカ,コモンヒメの4種を採集した.

43.オトシブミ科ではヒメクロ・ゴマダラ・コナライクビチョッキリ・チャイロチョッキリなどクヌギの葉を巻く種を初めとして,エゴツルクビ(エゴノキ),ブドウハマキチョッキリ(ブドウ類),マダラケブカチョッキリ(ハイノキ科)など9種が得られた.

44.マメホソクチゾウムシ アズキ・ヤブマメなどに多いとされるが,あまり目に付かない.

45.ゾウムシ科は,ハムシ・オサムシ科に次いで多い39種が採集された.ハムシ類と異なり,ツル食いはオジロアシナガ・コフキ(クズ)くらいで少なく,広葉樹を常緑から落葉樹まで広く食べるキュウシュウヒゲボソ・トゲアシ・ケブカクチブト・カシワクチブト・レロフチビシギ・シイシギ(以上クヌギ・シイ他)などが多く見られ,枯れ木を食べる種も概ね広葉樹食の種である.また,草地性のハコベタコ(ハコベ類),チビコフキ・アルファルファタコ(レンゲ),ハスジカツオゾウ(ヨモギ)も見られ,数は少ないが,水辺の植物を食べるウキクサミズ(ウキクサ),アオバネサルゾウ(セリ),針葉樹食のヒラズネヒゲボソ(ヒノキ・スギ),ニセマツノシラホシ(アカマツ)などが見られた.

46.ケブカアシブトゾウムシ(図2-18)  小島弘昭九大博物館助手に同定していただいた.全体明るい黄褐色で,前肢の腿節が異常に膨れ,大きなトゲを持つのが特徴である.本州,四国,九州の主として山地帯で記録されているが,新種記載時のホロタイプは雌で,雄は知られていないと言う.本個体は雄らしい.佐賀県初記録.

47.マルクチカクシゾウムシの一種(図2-19) 森本桂九大名誉教授に同定していただいた.体の前半が灰白色で後半は黒褐色,明瞭なツートンのゾウムシで未記載種.本州,九州の西日本に広く分布し,現在記載準備中とのこと.佐賀県初記録.

47.チビササラクチカクシゾウムシ(図2-20) 小島弘昭九大博物館助手に同定していただいた.前胸と上翅の一部分のみに羽毛のような鱗毛を装うのが面白い.九州の固有種で佐賀県初記録.

48.オオシロオビゾウムシ ワラビに付くと言うが余り見ない.

考察
<宇宙科学館周辺地域の甲虫相と,多良山系,および島原半島の甲虫相との比較>
調査した宇宙科学館周辺地域の甲虫相について,分布の面から考えてみたい.地域としての甲虫相を考えた場合,宇宙科学館周辺と御船山周辺ではほとんど差がないと考えられるので,ここでは一緒にして,63科447種について考えてみたい.
最も本調査地に近くて,かなり良く調査されている地域として,多良山系,および島原半島の甲虫相と比較してみたい.比較のため,多良山系は今坂・西田 (2002)を,島原半島は今坂 (1999, 2000, 2001a, 2001b, 2002a)のデータを使用した.
今坂・西田 (2002)に従って,分布型のカテゴリーを以下のように設定する(なお,括弧中は分布していない場合もあることを示す).
A:北方系広域分布種・・・・・・・北海道,本州,四国,九州,(屋久島,トカラ列島),朝鮮半島,(中国大陸,台湾)
B:南方系広域分布種・汎世界種・・北海道,本州,四国,九州,琉球列島,(朝鮮半島,中国大陸,台湾),汎世界
C:大陸・本土系種・・・・・・・・本州,四国,九州,(屋久島,トカラ列島),(朝鮮半島),中国大陸,(台湾)
D:大陸系種・・・・・・・・・・・九州,(屋久島),朝鮮半島,中国大陸,(台湾)
E:北方・本土系種・・・・・・・・北海道,本州,四国,九州,(屋久島,トカラ列島)
F:本土系種・・・・・・・・・・・本州,四国,九州,(屋久島,トカラ列島)
G:暖地系種・・・・・・・・・・・本州,四国,九州(以上の山地を除く),琉球列島,(台湾)
H:琉球系種・・・・・・・・・・・(四国),九州(山地を除く),琉球列島,(台湾)
I:九州・四国固有種・・・・・・・四国,九州,(屋久島)
J:九州固有種・・・・・・・・・・九州,(屋久島)
K:長崎・佐賀固有種・・・・・・・長崎県,佐賀県
L:島原半島固有種・・・・・・・・島原半島
M:分布不明種・・・・・・・・・・未記載種など,分布域不明
O:北九州固有種・・・・・・・・・九州北半分
P:背振・多良山系固有種・・・・・多良山系・背振山系
Q:多良山系固有種・・・・・・・・多良山系
種ごとに,多良山系の記録の有無,島原半島の記録の有無,分布型を表-1の右端3列に示した.
宇宙科学館周辺地域の甲虫類を,分布型ごとに種数を数え,全体に対する比率を示したのが表-3である.

表-3 宇宙科学館の周辺地域と多良・島原との分布型比較

宇宙科学館の周辺地域では,Fの本土系種が99種(22.1%)で最も多く,次いでAの北方系広域分布種とBの南方系広域分布種・汎世界種が同じく86種(19.2%),その後,Eの北方・本土系種が70種(15.7%),Cの大陸・本土系種が57種(12.8%),Gの暖地性種が26種(5.8%),Jの九州固有種が9種(2%),Iの九州・四国固有種が4種(0.9%),Mの分布不明種が4種(0.9%),Dの大陸系種が3種(0.7%),Hの琉球系種が2種(0.4%),Kの長崎・佐賀固有種が1種(0.2%)と続く.Lの島原半島固有種,Oの北九州固有種,Pの背振・多良山系固有種,Qの多良山系固有種は出現しなかった.
比較のために示した多良山系や島原半島に比べて,Aの北方系広域分布種とBの南方系広域分布種・汎世界種の割合が高いことが一番の特徴である.特に,Bについて両地域との差が著しい.Gの暖地性種の割合も高い.逆に,Fの本土系種については,両地域と比べてかなり少なくなった.それ以外の分布型の比率はあまり大きく変わらなかった.
以上の結果は,調査地である宇宙科学館の周辺地域がほぼ平地であり,高標高の山地を含まないこと,かなり人為的影響を受けた地域であることなどを考えると,むしろ,正当な結果と言えると思う.かなり狭い範囲の短期間の調査であっても,分布型で表示される比率は,かなり正確にその地域の甲虫相を反映している可能性がある.
比較的貧弱な植生や調査範囲の狭さにもかかわらず,Fの本土系種を筆頭に,Eの北方・本土系種,Cの大陸・本土系種,Gの暖地性種,Jの九州固有種,Iの九州・四国固有種など,比較的バランス良く,個性的で多様性に富んだ甲虫相であると言えると思う.その点で,本来の武雄市の里山環境が残っている地域であると結論づけることが可能である.
今回,宇宙科学館の周辺地域から採集された種のうち,多良山系と島原半島の両地域から記録が無い種として,次の23種を上げることが出来る.和名の後ろのアルファベットは分布型である.最も多いのはFの10種で,次いでBとJの3種,EとGが2種,A,C,Hが各1種である.これらの一部は佐賀県初記録であると思われる.
アシグロアオゴミムシG,コアオアトキリゴミムシF,アカアシユミセミゾハネカクシF,オオクビブトハネカクシB,キバネクビボソハネカクシB,コクロデオキノコムシJ,ウメチビタマムシC,ササキニンフジョウカイJ,ヘリムネヒラタケシキスイB,ナミモンコケシキスイA,アナムネカクホソカタムシF,マメヒラタホソカタムシF,マエアカヒメハナノミF,ヒラタホソアリモドキF,キイロハナノミダマシF,クロアラハダトビハムシH,オオアカマルノミハムシF,マメホソクチゾウムシE,ガロアノミゾウムシE,ケブカアシブトゾウムシF,シイシギゾウムシG,マルクチカクシゾウムシの一種(未記載種)F,チビササラクチカクシゾウムシJ.
大部分の種については,出現種の項で説明したので,重複を避けるが,新しく記録された種にFの本土系種が多いことは注目される.Jの九州固有種やGの暖地性種についても複数種が発見されたので,詳細に調査を続ければ,平地でもまだ十分興味深い種が見つかる可能性が高いことをこの結果は示している.
記録が無い種を個別に見ると,多良山系からは以上の23種を含めて60種が記録されていない.その内訳はハネカクシ類が14種と最も多く,他にはケシキスイ,ハムシ,ゾウムシなど比較的微小で同定が難しい種が多い.
一方,島原半島の方は,同様に42種で,多良山系よりむしろ少ないが,ヒゴシマビロウドコガネ,マルヒラタドロムシ,ホソベニボタル,アミダテントウ,モモブトカミキリモドキ,カトウカミキリモドキ,キバネカミキリモドキ,アカクビボソムシ,ケブカクロナガハムシ,ニレハムシ,タケトゲトゲなど,比較的普通種で,同定が容易な種が含まれている.これらの種が現在まで見つかっていないと言うことは,とりも直さず,島原半島には多分これらの種は分布しないいうことであろう.また,多良山系から記録のないハネカクシ14種は島原半島では全て記録されているので,調査が進めば,これらのハネカクシ類は多良山系でも見つかる可能性が高い.
以上の事などを考えると,結局,宇宙科学館の周辺地域から採集された種の大部分は多良山系には生息すると考えられる反面,島原半島には明らかに分布しないと考えられる種の存在があり,当地域の甲虫相は多良山系により近いと言えると思う.

<甲虫相と植生との相関>
1. ホストと種との相関
宇宙科学館の周辺地域で採集された甲虫の種と,植生との関係を考える手だてとして,まず,ホストがはっきり解っている種について,植物種との相関を考えてみたい.最初に述べたように,調査地域は武雄市市街地の南2km程度に位置し,大部分が公園化されているが,本来は,谷間に開けた水田を主とする耕作地で,周囲を里山的な低山に囲まれている.山林の大部分は広葉樹の雑木林で,スギ・ヒノキ植林を交える.谷の奥に溜め池が有り,細流が流れ出して,別の溜池に注ぐ.谷の一部には放棄水田跡の草地と里山の昆虫類を誘引するためのクヌギ植林地が設置されている.
手元に,この地域で行われた植物相調査の未発表野帳が存在するが,そこには,シダ類17種,単子葉植物16種,双子葉植物81種が上げられている.植物については余り知識が無いので,上げられている種の顔ぶれから多様であるかどうかの判断は出来ない.甲虫の調査中気が付いた木本植物を上げると,シイ,アラカシ,ウラジロガシ,ネジキ,タブノキ,クスノキ,ヤブツバキ,ヤナギ,クヌギ,クリ,コナラ,ヌルデ,クサギ,アカメガシワ,タラノキ,フジ,サルトリイバラ,スギ,ヒノキなどを思い出すことが出来る.一見,西九州低地の普通の樹林で,特に多様というわけではないが,アカマツはほとんど無く,それほど乾燥していないまずまず良好な樹林という感じがする.
甲虫類の種のホストについては,出現種の項で概略触れてきたが,整理し直すと表-4のようになる.

表-4 出現種とホストになる植物

宇宙科学館の周辺地域で採集された甲虫のうち,全体では49%に当たる217種がホスト(依存する植物種,あるいはグループ)が判明しており,そのうち,宇宙科学館周辺では50%に当たる196種が,御船山周辺では42%(56種)が明らかである.各ホストについては,出現種と植生との相関関係を考えるために,落葉広葉樹,常緑広葉樹,ツル植物,針葉樹,ササ・タケ,草本,水草などのカテゴリーに振り分けたが,便宜上,集計に当たって,複数にまたがるものについてはその数だけ案分したので,1/2,1/3などと表示されている.
これを集計した結果が,表-5である.

表-5 出現種とホスト植生との相関

宇宙科学館周辺では,落葉広葉樹をホストとする種が76.8種(39.2%)出現し,同様に,常緑広葉樹(45.8種, 23.4%),ツル植物(21.8種, 11.1%),針葉樹(11.7種, 6.0%)で,木本の合計が156.1種(79.7%)に上る.さらに,ササ・タケ(1種, 0.5%),草本(35.8種, 18.3%),水草(4種, 2.0%)であった.
宇宙科学館周辺では常緑・落葉広葉樹の混交林,スギ・ヒノキ植林,クヌギ植林,メダケ林,耕作地(畑地),ススキなどの高茎草地,シバ・オオバコなどの低茎草地,挺水植物が繁茂する溜め池,セリなどの挺水植物で覆われた緩い流れなど多様な環境が存在している.それらの,面積的な割合と,以上の数字とは直接相関しないが,感覚的に,落葉広葉樹をホストとする種に対して常緑広葉樹の比率がその約6割に過ぎず,小さいと感じられる.これは,本来は常緑広葉樹林であったものが,長い間,里山として人為的に利用され,結果として落葉広葉樹が増加した結果と考えられる.また,針葉樹,ササ・タケ,草本の割合が思ったより少ないのは,同様に,もともとはこれらの植生の割合が今よりずっと少なく,それらを利用する種の数が少なかったためと推測される.
一方,御船山周辺では,同様に落葉広葉樹(20.3種, 36.3%),常緑広葉樹(16.8種, 30.0%),ツル植物(6.8種, 12.1%),針葉樹(3.7種, 6.6%)で,木本の合計が47.6種(85.0%),ササ・タケ(2種, 3.6%),草本(6.3種, 11.3%),水草はゼロであった.
同じ地域内にある2地点で,出現種とホストの相関比率がほぼ同じであったのは興味深い.多少差がある部分として,宇宙科学館周辺に対して,御船山周辺では落葉広葉樹の比率が低く,常緑広葉樹の比率が高い.草本と水草の比率も低い.
以上の結果は,宇宙科学館周辺に対して,御船山周辺はシイなどの樹林が良好に繁茂しており,草地と水環境はより少ないと思われるので,景観から受ける印象をそのまま反映した結果が得られていると考えられる.

2. 出現種全体の生態区分
前項では,ホストが明らかにされている約半数の種について,植生との関連性を見てきたが,本項では出現種全てについて考えてみたい.各種の依存する植生はキッチリ決まっていないものも多いし,生態が不明なものも含まれているが,取り敢えず,調査地内の甲虫が依存して生活している場所を以下の4つの環境に類型化して,生態区分ごとに種をグルーピングして考えてみたい.

a.林内種
樹木をホストとする種の大部分と,林床や落葉下,枯木,キノコに依存するものをaとする.成虫が明るい場所や草地に進出する種でも,幼虫が林内の枯れ木や落葉下,林床の石の下などで生活し,樹林環境が無いと生活サイクルを全う出来ない種はここに入れる.

b.林縁種(樹林〜草地,果樹を含む)
マント群落など林縁や,日当たりの良い樹葉上で生活する種,幼虫が樹葉上で生活する種,果樹などにつく種をbとする.

c.草地種(裸地・畑を含む)
高茎のススキから低茎のシバまでの草地で生活する種,畑の草本やツル植物の作物につく種,ほとんど露出した裸地を這い回る種などをcとする.

d.親水種(水辺および水中,水田を含む)
親か幼虫が水中で育つ種,水辺の挺水植物に依存する種,水辺の著しく湿った裸地で生活する種,水田とその周辺で生活する種,水草や浮揚植物に依存する種などをdとする.
こういう単純な区分であってもグルーピンクはなかなか難しいが,今回は無理矢理このうちのどれかに当てはめてみた.その結果が,表-1の右から4列目である.
この表から,宇宙科学館周辺(表-6)と御船山周辺(表-7)とに分けて,生態区分ごとの種数を出してみた.
宇宙科学館周辺の出現種は,aの林内種が188種(48.3%),bの林縁種が81種(20.8%),合わせると樹林(あるいは木本植物)に依存する種が69.1%とほぼ7割に達し,かなり多い.また,cの草地種は65種(16.7%)であり,見かけ上の草地の広さからすると余り多くない.さらに,dの親水種は55種(14.1%)で,草地種よりやや少ない程度で比較的多い.これは,もともと水田環境で,その後放棄されているが,それでも溜め池や小河川が保持されているためであろう.宇宙科学館周辺の甲虫相の特徴をはっきりさせるためには,別の場所で同様の調査を行い,結果を比較することが必要かもしれない.
試みに,御船山周辺の結果を見てみると,a:73種(54.5%),b:26種(19.4%),c:18種(13.4%),d:17種(12.7%)と,明らかに御船山周辺の方が林内種の比率が高くなっている.逆に草地種と親水種の比率が低くなっており,林縁種はあまり差がない.
この生態区分を使用した方法は,前項の,出現種とホストとの相関からの結論とほとんど同様の傾向が出ているので,この両方法は,調査状況によってうまく使い分けることにより,甲虫相を論じるのに有効かもしれない.

3. 生態区分と分布型
生態区分ごとに,どのような種が含まれているのか確かめるために,前述の分布型と組み合わせてみたのが,表-6と表-7である.

表-6 宇宙科学館周辺

表-7 御船山周辺

宇宙科学館周辺において採集された389種のうち,aの林内種が188種(48.3%)であった.この林内種において,分布型ごとの比率を出してみると,表-6のように,Fが46種(林内種のうちの24.5%,以後同様)で最も多かった.次いで,Aが42種(22.3%),Eが32種(17.0%),Bが26種(13.8%),Cが23種(12.2%)であった.G, J, I, Hも少数含まれていた.
同様にbの林縁種は81種(20.8%)で,その中ではAが17種(21.0%)と最も多く,BとCが同じく15種(18.5%),Fが13種(16.0%),Eが12種(14.8%)で,やはりG, J, I, Hが少数含まれていた.Aが最も多く,Fがやや少なくなるのが林縁種の特徴であるが,その他の全体的な構成は林内種と似通っていた.
一方,cの草地種は65種(16.7%)で,分布型構成はBが24種(36.9%)と断然多く,次いで,Aが14種(21.5%),Eが10種(15.4%),Cが8種(12.3%),Gが5種(7.7%)と続き,aでは最も多いFは3種(4.6%)とごく少なかった.H, I, Jなどは含まれてなかった.
また,dの親水種は55種(14.1%)で,この中ではFが14種(25.5%),Bが13種(23.6%)と同様に多く,Aの8種(14.5%)と,CとEの7種(12.7%)が続く.H, I, Jなどは含まれていなかった.
繰り返しになるがまとめると,以下のようになる.
◎林内種:本州・四国・九州に分布する本土系の種,分布範囲の狭い固有種の比率が比較的高い.広域分布種は比較的少ない(暖地系種がその傾向が強い).
◎林縁種:林内種の構成から,広域分布種の比率を高めた傾向.その分,固有種の比率は低い.
◎草地種:林内種や林縁種とは逆に,広域分布種の比率が断然高い(暖地系種がよりその傾向が強い).固有種はほとんど含まれていない.
◎親水種:本土系の種と暖地系広域分布種が半々で比率が高い.固有種は含まれていない.
九州の低地では,固有種を含む本土系の種の大部分が樹林内で生活しており,草地や水辺などオープンな場所には移動能力の強い広域分布種の勢力が強いということが,当調査で明らかになった.
一方,御船山周辺で採集された134種のうち,同様に生態区分ごとに数字を見てみると,林内種は73種(54.5%)で,宇宙科学館周辺よりさらに多く,その内訳ではFが28種(38.4%)と圧倒的に多かった.次いでBが12種(16.4%)と多く,むしろ,A(8種, 11.0%)とE(9種, 12.3%)は余り多くなかった.G, H, Kは少数出現したが,I, Jは得られなかった.
林縁種ではEとCが多い以外は,宇宙科学館周辺と大きな傾向の違いはなく,草地種ではほとんど同じ傾向を示した.広域分布種の勢力が強い生態区分内では,構成する分布型の比率も地域による変化が少ないのかもしれない.親水種では,宇宙科学館周辺とはFがAに変わっただけで,同様であった.
御船山周辺の傾向をまとめると,宇宙科学館周辺の種構成から,樹林内の本土系の種を強調して,その他の生態区分では広域分布種を追加したような構成になっていると考えられる.落葉など樹林内での調査の充実と,ライトトラップによる調査が数字に影響したのであろう.

<出現期と季節変動>
宇宙科学館の周辺地域で採集した甲虫類について,季節ごとの出現種,出現個体数,科ごとの種数の変動を見てみたい.調査全体の中で,今坂調査分は5月初旬から7月中旬まで約半月ごとに調査を繰り返しているので,この間の出現種の動向を見るのに適当と思われる.当然,資料は2004年度宇宙科学館周辺のみに限られることになる.なお,調査中,見かけた全ての種を採集するように勤めたが,当然全ての個体を採集したわけではない.珍しい種や興味のある種はなるべく多く採集し,普通に沢山いる種は1個体に留めた場合が多い.しかし,少ない種を沢山採集することは不可能なので,採集種数・個体数から出現期についてある程度の推定が可能である.採集日と採集方法別に,出現した科と種数,個体数,生態区分ごとの種数の割合,分布型ごとの種数の割合などを表8に示した.

表-8 調査時期ごとの出現種の傾向

1.採集した種数
採集種数は宇宙科学館周辺では362種で,5月上旬(2004/5/7-8)は109種,5月中旬(2004/5/22)は100種,6月上旬(2004/6/3-5)は107種,6月中旬(2004/6/18)は132種,7月上旬(2004/7/1-3)は127種,7月中旬(2004/7/18)は77種であった.
5月上旬,中旬,6月上旬まで同様に100種程度で推移したものが,6月中旬と7月上旬には3割程度増加し,7月中旬には逆に2割程度減少したことが解る.
また,昼間の任意採集だけで246種採れており,同様に5月上旬は99種,5月中旬は100種,6月上旬は82種,6月中旬は76種,7月上旬は52種,7月中旬は41種と,徐々に減少しているのが解る.ライトトラップなどその他の採集では140種が得られ,5月上旬は10種,5月中旬はゼロ,6月上旬は27種,6月中旬は60種,7月上旬は83種,7月中旬は37種で,6月中旬と7月上旬に飛躍的に増加していることが解る.
調査は任意採集を中心として毎回3時間程度,可能なあらゆる作業をしているので,結果として得られる種数はほぼ同じ程度になるが,6月中旬と7月上旬は昼間の任意採集で得られる種に加えて,夜間ライトトラップに飛来する種の数が多く,昼夜の種は互いに重複が少ないので種数が増加している.しかし,7月中旬になると昼間得られる種数,夜間ライトトラップに飛来する種共に減少して,むしろ少なくなった.今年は特に梅雨明けが早かったことがその結果に影響したと考えられる.仮に梅雨明けが例年(7月20日前後)であれば,7月中旬の結果も7月上旬と大差なかったものと思われる.

2.採集した個体数
採集個体数は全体で1831個体で,5月上旬は270個体,5月中旬は269個体,6月上旬は214個体,6月中旬は396個体,7月上旬は463個体,7月中旬は219個体である.
このうち任意採集だけで1006個体取れており,5月上旬は251個体,5月中旬は269個体,6月上旬は161個体,6月中旬は162個体,7月上旬は101個体,7月中旬は62個体と,種数以上に増減の幅が大きい.各月の上旬と中旬の個体数がほぼ同じであることは興味深い.その他の採集では825個体が得られ,5月上旬は19個体,5月中旬はゼロ,6月上旬は53個体,6月中旬は234個体,7月上旬は362個体,7月中旬は157個体で,6月中旬以降飛躍的に増加し,7月中旬は既に減少に転じていることが解る.
以上の採集種数と個体数の推移から類推すると,特に定量採集のやり方でなくとも,毎回一定時間(狭い範囲で有れば2〜3時間)の任意採集を繰り返すことにより,ほぼ,昼間に活動している種数や個体数の動向はつかめるようである.

3.採集した科ごとの出現傾向
採集した甲虫を,採集日ごとに種数の多い科を上にして順次並べたものが表9である.
表-9 調査時期ごとの科別種数と個体数の変動
調査全体では,ハムシ科が最も多く,54種257個体が得られた.次いで,オサムシ科36種124個体,コガネムシ科30種200個体,ゾウムシ科28種136個体,ハネカクシ科25種293個体,カミキリムシ科22種42個体,コメツキムシ科19種124個体,テントウムシ科17種63個体,ケシキスイ科11種96個体,ジョウカイボン科11種60個体,ハナノミ科8種18個体,アリモドキ科7種29個体,オトシブミ科7種26個体,クチキムシ科6種25個体などが多かった.また,種数はこれより少なかったが,個体数ではガムシ科は5種96個体,ジョウカイモドキ科は3種33個体,ヒラタドロムシ科は3種22個体などが多く得られた.
ハムシ科は5月上旬(26種, 60個体),5月中旬(25, 78),6月上旬(20, 48),6月中旬(12, 32),7月上旬(13, 23),7月中旬(10, 16)と,5月上旬〜下旬に多く,その後は減少する.
オサムシ科は5月上旬(7, 10),5月中旬(1, 1),6月上旬(8, 12),6月中旬(21, 56),7月上旬(16, 37),7月中旬(7, 8)と,6月中旬・7月上旬のライトによって飛躍的に増加する.
コガネムシ科は5月上旬(7, 21),5月中旬(6, 22),6月上旬(8, 17),6月中旬(15, 67),7月上旬(18, 50),7月中旬(13, 23)と,5月上旬〜6月上旬はほぼ同様で,6月中旬以降急に増加し,7月中旬にやや減少する.
ゾウムシ科は5月上旬(13, 40),5月中旬(15, 43),6月上旬(8, 17),6月中旬(11, 23),7月上旬(7, 11),7月中旬(2, 2)と,ほぼ5月中旬をピークとして,後は減少する.
ハネカクシ科は5月上旬と5月中旬はゼロ,6月上旬(2, 5),6月中旬(16, 90),7月上旬(18, 111),7月中旬(8, 87)で,ほとんどライトだけで得られており,個体数も含めて6月中旬以降に多数が得られた.
カミキリムシ科は5月上旬(8, 8),5月中旬(4, 5),6月上旬(7, 15),6月中旬(6, 7),7月上旬(3, 3),7月中旬(3, 4)と,5月上旬と6月上旬〜6月中旬にやや多かったが,個体数は少なかった.
コメツキムシ科は5月上旬(9, 37),5月中旬(8, 25),6月上旬(8, 17),6月中旬(8, 28),7月上旬(8, 15),7月中旬(3, 5)と,5月上旬〜7月上旬まで同様にやや多く,7月中旬には減少した.
テントウムシ科は5月上旬(5, 10),5月中旬(7, 12),6月上旬(8, 14),6月中旬(8, 14),7月上旬(5, 7),7月中旬(5, 6)と,5月中旬〜6月中旬にやや多く,その他ではやや少なかった・
ケシキスイ科は5月上旬(1, 1),5月中旬はゼロ,6月上旬(6, 20),6月中旬はゼロ,7月上旬(6, 72),7月中旬(3, 3)と,ほとんどベイト・バナナなどのトラップで得られた.
ジョウカイボン科は5月上旬(9, 40),5月中旬(6, 14),6月上旬(3, 6)で,5月上旬をピークとしてその後は急速に減少し,6月中旬以降は得られなかった.
ハナノミ科は5月上旬(2, 8),5月中旬(1, 2),6月上旬(3, 4),6月中旬(1, 4),7月上旬(1, 1),7月中旬はゼロと,5月上旬〜7月上旬に常に少数が見られ,季節により異なった種が見られた.
アリモドキ科は5月上旬(1, 1),5月中旬(1, 5),6月上旬(1, 1),6月中旬(2, 4),7月上旬(5, 12),7月中旬(2, 6)で,常に少数が見られたが,7月上旬のライトにやや多くが飛来した.
以上,ジョウカイボン科を筆頭に,ハムシ科,ゾウムシ科など,5月上旬〜6月上旬の春に多いグループと,オサムシ科,コガネムシ科,ハネカクシ科など6月中旬を中心とした梅雨明け前に多いグループがあり,この2グループの季節変動が顕著であった.また,コメツキムシ科,テントウムシ科など6月をピークとするが余り季節変動が明瞭でないグループも見られた.

4. 生態区分と季節変動
前項における生態区分と採集時期の関係を表8で見てみると,aの林内種では5月上旬(56種, 同日採集分の51.4%,以下同様),5月中旬(49種, 49%),6月上旬(63種, 58.9%),6月中旬(38種, 28.8%),7月上旬(38種, 29.9%),7月中旬(22種, 28.6%)となり,6月上旬以前と6月中旬以降でほぼ半数近くに減少し劇的に変化した.
また,bの林縁種は5月上旬(33種, 30.3%),5月中旬(34種, 34%),6月上旬(29種, 27.1%),6月中旬(30種, 22.7%),7月上旬(27種, 21.3%),7月中旬(22種, 28.6%)となり,6月中旬〜7月上旬にやや少なくなったが,変動は少なかった.
さらに,cの草地種は5月上旬(17種, 15.6%),5月中旬(13種, 13%),6月上旬(11種, 10.3%),6月中旬(31種, 23.5%),7月上旬(31種, 24.4%),7月中旬(14種, 18.2%)となり,aの林内種とは逆に6月中旬以降,2倍程度に増加した.
最後にdの親水種も5月上旬(3種, 2.8%),5月中旬(4種, 4.0%),6月上旬(4種, 3.7%),6月中旬(33種, 25.0%),7月上旬(31種, 24.4%),7月中旬(19種, 24.7%)となり,6月中旬以降急激に増加した.
cの草地種とdの親水種による6月中旬以降のライトトラップへの飛来が急激に増加し,aの林内種の全体に占める比率が,実際の種数減少以上に,大きく減少する結果になった.6月中旬以降,草地種や親水種といった広域分布種が,分布域を広げるために主として夜間に活発に活動し,一方,比較的活動範囲が狭い林内種は,夏の高温と乾燥を嫌ってむしろ春期に多く,林内から余り離れない範囲で活動するものと思われる.

5. 分布型と季節変動
同様に,分布型と採集時期の関係を表8で見てみると,Aの北方系広域分布種では5月上旬(26種, 23.9%),5月中旬(17種, 17.0%),6月上旬(23種, 21.5%),6月中旬(25種, 18.9%),7月上旬(28種, 22.0%),7月中旬(17種, 22.1%)となり,5月中旬と6月中旬が低いが余り明確な傾向が見られない.
Bの南方系広域分布種では5月上旬(17種, 15.6%),5月中旬(15種, 15.0%),6月上旬(26種, 24.3%),6月中旬(30種, 22.7%),7月上旬(30種, 23.6%),7月中旬(16種, 20.8%)となり,6月上旬以降明らかに増加する.
Cの大陸・本土系種では5月上旬(16種, 14.7%),5月中旬(14種, 14.0%),6月上旬(12種, 11.2%),6月中旬(19種, 14.4%),7月上旬(15種, 11.8%),7月中旬(13種, 16.9%)となり,6月上旬と7月上旬が低いが余り明確な傾向が見られない.
Dの大陸系種は少なすぎて傾向は解らない.
Eの北方・本土系種では5月上旬(15種, 13.8%),5月中旬(18種, 18.0%),6月上旬(18種, 16.8%),6月中旬(22種, 16.7%),7月上旬(20種, 15.7%),7月中旬(11種, 14.3%)となり,5月中旬をピークとして,前後になだらかに減少する.
Fの本土系種では5月上旬(29種, 26.6%),5月中旬(28種, 28.0%),6月上旬(17種, 15.9%),6月中旬(23種, 17.4%),7月上旬(21種, 16.5%),7月中旬(12種, 15.6%)となり,5月上旬〜5月中旬に多く,6月上旬以降は明らかに減少する.
Gの暖地系種では5月上旬(3種, 2.8%),5月中旬(3種, 3.0%),6月上旬(4種, 3.7%),6月中旬(8種, 6.1%),7月上旬(8種, 6.3%),7月中旬(4種, 5.2%)となり,全体に少ないながら,明らかに6月中旬以降増加している.
Hの琉球系種,Iの九州・四国固有種,Jの九州固有種については少なすぎて傾向は解らない.
以上を総合すると,Fの本土系種,Eの北方・本土系種などが,5月中旬の春期をピークとして,その後は種数が減少するのに対して,Bの南方系広域分布種,Gの暖地系種は6月上旬以降の梅雨明け前の高温多湿の時期に最も種数が増加するようである.Aの北方系広域分布種,Cの大陸・本土系種などについては季節変動は明らかではなかった.

まとめ
宇宙科学館周辺と御船山周辺において,2年間に渡り甲虫類の調査を行い63科447種を記録することができた.採集された甲虫の中には,未記載種,佐賀県初記録種を含めて,予想以上に興味深い種が含まれており,全て,佐賀県立宇宙科学館に収蔵された.分布型,植生との関係,生態区分などを用いて考察を試み,宇宙科学館の周辺地域には固有種を含む樹林性の種を多く産し,比較的バランスが取れ,多様性に富んだ甲虫相が見られることが明らかになった.このことは,本来の武雄市周辺の里山環境がまだ残っていることを示している.
また,毎回ほぼ同様の方法で,同じ時間,定期的に調査することで,出現種の季節的変動を明らかにすることが可能で,生態的な特徴や,分布型により,季節変動に一定の傾向が見られることを述べた.

引用文献
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野村周平 (2002) 佐賀県のアリヅカムシ再説.佐賀の昆虫,(37): 535-549.

図版説明
図1.調査地付近の地理と,環境,採集状況など
図2.出現種

1.アシグロアオゴミムシ     11.マメヒラタホソカタムシ

2.コアオアトキリゴミムシ   12.ハネナシナガクチキムシの一種

3.マツウラヒゲナガアリヅカムシ   13.ヒラタホソアリモドキ

4.コクロデオキノコムシ     14.アカハムシダマシ(赤紫型)

5.ヒゴシマビロウドコガネ   15.アカハムシダマシ(金緑型)

6.カタアカハナボタル 16.キイロハナノミダマシ

7.ヘイケボタル 17.タケトゲトゲ

8.ササキニンフジョウカイ   18.ケブカアシブトゾウムシ

9.コブスジケシキスイ 19.マルクチカクシゾウムシの一種(未記載種)

10.アナムネカクホソカタムシ 20.チビササラクチカクシゾウムシ


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白水隆先生と甲虫と私