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九州山地でエゾトラカミキリ

今坂正一

九州山地の中央部に当たる椎矢峠でエゾトラカミキリOligoenoplus  rosti  (PIC) を採集したので記録しておきたい。
2♂,熊本県上益城郡矢部町椎矢峠,7.VI.1997 ,筆者採集・保管。
峠手前(標高約1250m)の林道沿いのミズキの花上よりテツイロハナカミキリ、カンボウトラカミキリなどと共に採集した。本種は北海道、本州、四国に分布し、九州からは未記録であった。
池田(1987)は奈良県春日山産を亜種iwatai IKEDAとして記載し、原亜種との区別点として、(1)前胸背の微毛はより細く短く、非常に密、(2)上翅中央上部の白色帯に挟まれた斜めの黒色帯は幅広く、すぐ下の白色帯とほぼ等幅、をあげている。
九州山地産は、(1)はほぼ同様であるが、(2)については、1個体は狭く、もう1個体は広く、そうとは言えないようである。むしろ、九州山地産の特徴として、上翅中央の白色帯の後縁は斜め側方に伸びており、末端の白色帯の前縁もより斜めになるので、中央後ろの黒色帯はより矢筈状になる点を上げることができる。一方、原亜種の黒色帯はより真っ直ぐで、亜種iwataiではやや矢筈状になるので、九州山地でよりこの傾向が強まるのであろう。
奈良県春日山産と九州山地産は、感じとしては原亜種と区別できそうに思えるが、池田(1987)のあげた特徴では不十分と考えられる。奈良県、愛媛県の個体を含めて検討される必要があるものと思われる。末筆ながら、比較標本をいただいた三蔭外茂治氏にお礼申し上げる。

参考文献
1.池田清彦(1987)エゾトラカミキリおよびその近縁 種の再検討,月刊むし,(200):10-13 .
2.日本鞘翅目学会編(1984)日本産カミキリ大図鑑, 講談社刊,565pp .
3.大林延夫・佐藤正孝・小島圭三編(1992)日本産カ ミキリムシ検索図説,東海大学出版会刊,696pp . 図版説明
1.加賀白山産♀,17.VI.1973.三蔭採集
2.九州山地産♂-1
3.九州山地産♂-2


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